2024年11月26日
東北大、肥満治療へのシグナル経路発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学薬学研究科の井上飛鳥教授らの研究グループは25日、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)の特定の下流シグナルを選択的に誘導するデザイナー受容体(DREADD)と肥満モデルマウスを用いた研究により、肝臓におけるG12シグナルの誘導が肝臓への中性脂肪の蓄積を抑制し、肥満による体重増加を抑制することを明らかにしたと発表した。

 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は飲酒習慣がない個人に肝臓への脂質蓄積が見られる疾患で、肥満などの代謝異常がその発症原因となる。NAFLDには初期病態の脂肪肝と比較的進行した脂肪肝炎が含まれ、脂肪肝炎はさらに肝硬変や肝細胞がんに進行するため、早期の治療が望まれている。だが、NAFLDの有用な治療薬は未だ開発されていなかった。

 肝臓に発現するGPCRの中にはG12シグナルをオンにするものがあるため、今後これらのGPCRに対する作動薬を開発することで脂肪肝や肥満に対する治療につながると期待できる。
 同研究成果は科学誌「Biochimica et Biophysica Acta (BBA) 」(24年11月12日付)に掲載された。