2024年12月06日
北大、産地不明の海苔の養殖地域、特定可能に
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学大学院の豊田和弘准教授(環境科学院)の研究グループは5日、日本市場で販売されている食用海苔について、産地が不明であってもそれぞれの地質学的特徴から、有明海、瀬戸内海など、養殖地域の特定が可能であることを解明したと発表した。他の海産物についても、希土類元素分析が確かな「産地認証」指標となることが期待される。

 豊田准教授らは、日本市場で販売されている75パッケージの食用板海苔を対象に、希土類元素を含む28種類の元素含有量を測定し、その濃度が海苔の養殖地域の地質学的特徴(島弧海溝系や大陸地殻)を反映していることをつかんだ。

 例えば、養殖海域の背後にある地質が花崗岩質の場合は、トリウムやウランの含有量が高くなる傾向があることを確認した。また、カドミウム(0.5 ppm)とトリウム(3.3 ppb)の濃度は、日本産と韓国産を区別する有効な指標(閾値)となった。特に、海苔中の希土類元素濃度パターンの特徴の一つであるユーロピウム(Eu)異常値が、日本国内の主要な養殖地域である有明海と瀬戸内海、さらに韓国からの輸入海苔などと明確な違いがあることが確認された。これらのことから海苔以外の海産物についても希土類元素の分析が、信頼できる原産地証明手法となる可能性が期待される。
なお、本研究成果は、2024年10月19日公開の「Food Chemistry」誌に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/241205_pr.pdf