2024年12月06日 |
九大など、2万年前の日本海水温復元に成功 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:九州大学 |
水深の浅い海峡で他海域とつながる日本海は、海面が100m以上低下した最終氷期(2万年前)に対馬暖流が流入できなくなり、低塩分化が進んだが、過去の海水温復元に使用される既存の古水温指標が低塩分環境で使えないため、最終氷期の日本海水温が何℃だったのかはわかっていなかった。 九州大学大学院 理学研究院の岡崎裕典教授をはじめとする産総研、富山大学、海洋研究開発機構などの共同研究グループは、ガラス質の骨格をつくる珪質鞭毛藻というプランクトンに注目し、現在の北太平洋に生息する珪質鞭毛藻種の分布と水温の関係を日本海の北海道西方と福井沖で採取した海洋コア試料中の珪質鞭毛藻群集に当てはめることで、過去2万年間の水温変動を復元した。 岡崎教授らは新たに確立した同水温指標を用いて、過去2万年間の日本海における年平均水温変化を復元し、最終氷期の水温が北海道西方で約4℃(現在10℃)、福井沖で約5℃(現在18℃)と、現在のオホーツク海並みであったことをこのほど明らかにした。 日本海の水温は、日本海側の降水・降雪をはじめとした日本列島の気候に重要な役割を果たしている。今回の研究成果は、日本列島の気候や自然が過去2万年間にどのような移り変わりを経て現在へ至ったかを知るための基礎的な情報の一つとなる。 同研究成果は、日本地球惑星科学連合の「Progress in Earth and Planetary Science」誌に、2024年12月5日(日本時間)に掲載された。 <用語の解説> ◆対馬暖流 東シナ海で黒潮から分岐し、対馬海峡を通じて日本海へ流入する暖流。 ◆ 珪質鞭毛藻 海洋に生息する植物プランクトンで、ケイ酸質の内骨格を形成する。 |