2024年12月10日 |
北大、傷付いた軸索を再生する分子発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院医学研究院の角家健特任准教授らの研究グループは10日、軸索(神経細胞が情報を伝える導線に相当する部分)の再生を促す分子を発見したと発表した。 末梢神経は中枢神経と異なり、軸索が再生するが、体幹に近い場所での損傷や、重度の損傷の場合、その再生速度や量は十分ではなく、傷付いた領域の痛みや運動障害が残存する。このため、軸索の再生を促進する治療法の開発が求められていた。 研究グループはシュワン細胞という、末梢神経を構成する細胞の一つに注目した。これまでの研究成果から、修復型シュワン細胞が細胞表面の分子を利用して、軸索再生を促す能力に優れていることを解明していたため、修復型シュワン細胞の細胞表面で発現する分子を調べてみたところ、GDNF family receptor alpha-1(GFRα1)が軸索の再生を促す機能を持つことを発見した。 損傷した神経のGFRα1を阻害すると、軸索再生は減弱した。一方で、損傷した神経にGFRα1を投与すると、軸索の再生が促進され機能回復が向上した。GFRα1は、神経栄養因子GDNFの刺激を細胞内へと伝える受容体として知られているが、今回、損傷した軸索に直接結合して、再生を促進する機能も併せ持つことが分かった。 これらの結果は、末梢神経再生への新しい仕組みを解明し、GFRα1の新しい機能を同定するもので、末梢神経損傷や脊髄損傷に対する有効な治療方法の開発につながる。 なお、本研究成果は12月4日「Advanced Science」誌にオンライン公開された。 (詳細) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/241210_pr.pdf |