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2024年12月17日 |
広島大、医療AIの精度を高める新手法開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:広島大学 |
医療データを活用したAI(医療AI)は、大量のデータを学習することで高精度の予測が可能だが、データに偏りがあると、AIは少数派のケースを無視し、予測が多数派に偏るという弱点がある。 このAIの弱点を解決するために「オーバーサンプリング手法」が開発されたが、多くの特徴量(例:年齢、血液検査値など)を含む「多次元データ」では、補正が難しいという課題があった。 広島大学大学院 放射線腫瘍学の村上祐司教授らの研究グループは、Radiomics解析を用いた機械学習による予後予測において、医用画像の不均衡を補正する技術を開発し、CT画像とPET画像を使用した頭頸部がんの再発予測において、GNUSを利用し、データ不均衡によるAI予測精度の多数派への偏りを減らし、さらに予測精度を改善することに成功した。 「超多次元データ」でもそれぞれのデータの次元で少数派のデータを仮想的に増やして学習性能を改善する新たなアルゴリズムで、ガウシアンノイズを用いた不均衡補正法であるGNUS(Gaussian Noise Up Sampling)を開発し、このアルゴリズムによって予測が偏ることを防ぎながら予測精度も向上させることに成功した。 今後、がん患者の術後の再発予測の精度向上や、他の疾病への活用が期待できる。 本研究成果は、国際学術雑誌「Computers in Biology and Medicine」(24年7月26日)オンライン版に掲載された。 <用語の解説> ◆オーバーサンプリング手法:不均衡データの少数派サンプルを合成して多数派に合わせて増やすという方法。 ◆多次元データ:医療データは、CT検査やPET検査の画像データや、血液検査の数値データなど次元が異なるデータが存在する。 ◆Radiomics 解析:「Radiology(放射線医学)」の英単語に「omics(網羅的解析)」を付けた造語。病変の生物学的情報と医用画像から抽出した多数の定量的な特徴量を関連付けて網羅的に解析すること。 ニュースリリース参照 https://www.hiroshima-u.ac.jp/system/files/249879/pr20241213-01.pdf |