1999年11月12日
三井化学、PTA11月輸出価格560ドルで決着~12月も引き上げ検討
供給体制も強化、来年1QからSABICからの玉引き取り開始
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:三井化学、三菱化学

 三井化学は、原料価格高騰からPTA(高純度テレフタル酸)の輸出価格引き上げ交渉を行っているが、10月分についてはCFR・トン530ドルで決着、11月分についても560ドルでほぼ決着が見込まれており、12月分についてもさらに一段の引き上げに向け検討を進めている。
 PTAのアジア向け輸出価格は、原油価格の高騰から原料であるPX(パラキシレン)価格の上昇により、春先以降価格転嫁が実施されてきている。4Qについても、PX価格は10月が440ドル、11~12月485ドルが打ち出されており、同社でも引続き価格転嫁を行わざるを得ないとしているもの。
 PTAメーカーでは、三菱化学が10月530ドル、11月560ドル、12月580ドルを、BPアモコが10月535ドル、11月・12月570ドルを打ち出しており、採算是正に向けしばらくは値上げ交渉が続いていくものと見られている。
 一方、スポット市況は10月は530~560ドルが実勢となっていが、11月分については韓国メーカーが600ドルをオファーしており、需給タイト感、コストアップを背景に強含みでの展開が続いていくと見られている。
 PTA需給は、ポリエステル需要の回復、供給側の増設もほとんど無いことから、現在は昨年と一変しタイト感が強まっている。こうしたタイト状況は、次の増設計画がある2003年までは続くことが予測されている。
 同社でも、国内、インドネシア、タイのいずれの設備もフル稼働状況となっていることから、玉の安定確保に向けた取り組みを行っていくことになるとしている。
 こうした中、SABIC(サウジ基礎産業公社)とPTA、EG(エチレングリコール)の販売提携を締結。日本においてSABICジャパンが販売しているEGについて、同社が年間2万トンベースでOEM供給を既に開始している。これに加えて来年1QにSABIC傘下のアラビアン・インダストリアル・ファイバーが年産35万トン設備を立ち上げるのに伴い、年間4万トンのPTAを需給、パキスタン・インド市場をメインに供給を行っていく。