1999年11月09日
東南アジアのポリオレフィン価格に変動
PEは値上げ通らず、PP・Cはアップ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 ポリオレフィン業界ならびに大手商社筋によると、11月に入ってアジア地域におけるポリオレフィンの取引価格にこれまでにない変化が生じてきた。韓国の樹脂メーカーが予定していたポリエチレン三樹脂の値上げが掛け声だおれとなり、その反面、これまで低水準にとどまっていたPPのコポリマーが久方ぶりに底上げされつつある。
 同地域のポリエチレン相場が頭打ちとなってきたのは、最大の消費国の中国が相次ぐ値上げに対処して買い渋りに転じたことによるところが大きいという。LDPE(低密度ポリエチレン)、L—LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)のポリエチレン三樹脂の同地域における価格は、8月から10月までの三ヶ月間にトン当たり250ドル見当上がった。これは、中国や極東さらにはアセアン諸国の需要が急速に回復してきてアジア地域全体の需給バランスがタイト化してきたのに加え、ナフサの高騰に対応して韓国、日本、台湾などの供給国が一斉に値上げに踏み切ったことによる。この結果、10月船積み分のCIF価格は、LDPEがトン当たり850~870ドル、L—LDPEが同800~840ドル、HDPEが同870~900ドルまで上がっていた。
 これに勢いを得て韓国のポリエチレンメーカーは11月積みをさらに同80ドル引き上げると各国のディーラや需要家筋に通告していたが、中国など消費各国が軒並み強い拒否反応を示してきたため撤回せざるを得なくなったという。韓国のメーカーの中にはシェアー維持のためL-LDPEやHDPEを逆に値下げするところさえ出ていると伝えられる。
 もっとも日本のポリエチレンメーカーの中には、しばらく安値契約を見送っていけば遠からず若干の最値上げが可能になると見る向きが多い。
 一方、PPのコポリマーは11月積みが同70ドル前後上がっている。 
同800ドルから820ドルに底上げされている。今年に入って初めての800ドル乗せだ。これは、家電部品向けの中国の需要が一段と活発になってきたためという。