1999年11月09日
三菱レイヨン、MMA樹脂を用いた炭素繊維・耐震補強工法「アクリペアシステム」上市
短時間施工、冬期・寒冷地下での施工が可能に、3年後売上20億円目指す
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンは8日、常温硬化型MMA樹脂を用いた炭素繊維・耐震補強工法「アクリペアシステム」を開発、7月15日付で(財)日本建築防災協会の技術評価を取得、今秋に上市する、と発表した。
 同社の中期計画に掲げる「US(=ユニークなスペシャリティ)」事業育成の一環として、同社の代表的な「得意技」である炭素繊維と、世界有数の生産力・技術力を誇るMMA樹脂を組み合わせた今回の「アクリペアシステム」事業を展開、3年後に20億円の売上げを目指す。
 連続繊維補強材を用いた耐震補強工法としては、既にいくつかの工法が公的評価を得ているが、MMA樹脂を用いた工法としては初の評価取得となり、耐震改修促進法に基づく耐震改修工事に広く適用できることになる。また、メーカー単独での取得も初となる。
 今回の工法は、従来のエポキシ樹脂を用いるのに比べて速硬化性、低温硬化性、耐候性などに優れるMMA樹脂を含浸接着樹脂として用い、既存鉄筋コンクリート(RC)造および鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の柱に炭素繊維シートを巻き付けた耐震補強を行うもの。エポキシ樹脂を用いた工法と同等の補強性能を有すると共に、同社独自の「ABA工法」を採用することにより、硬化の速いMMA樹脂の可使時間をコントロールすることができる。「ABA工法」とは含浸接着樹脂を、硬化材と配合する「A材」と促進剤を配合する「B材」に分け、これに炭素繊維シートを挟んで塗り重ねて反応を開始し硬化させる工法。この工法により、短時間施工が要求される交通施設の施工などの他、これまで従来のエポキシ樹脂では実施が難しいとされてきた冬期・寒冷条件下(0℃~-10℃)での施工が可能になる。
 なお、同社では、本工法の実施にあたっては「アクリペアシステム」の施工組織「アクリペア研究会」を発足、同社の技術指導のもとで、会員会社を通じて広く普及を進めていくとしている。