1999年11月04日
シェルとBASF、ポリオレフィン事業を統合
PPは540万トン、PE222万トンの供給能力に
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:BASF、昭和電工

 シェルペトロリウムとBASFの両社はロンドンで現地時間の3日14時30分(日本時間3日23時30分)、お互いのグループ会社のうちポリオレフィンを手がけている企業3社を統合することにして具体的な話し合いを進めていると発表した。今年末までに詳細を煮詰めて調印する考え。
 両社が統合するのは、シェルの全額会社の「モンテルポリオレフィンズ」、シェルとBASFの折半出資会社の「エレナック」、BASFとセラニーズの折半出資による「タゴール」の3社。両社は、新たに50%ずつを出資しあってオランダに新会社を作り、これら3社のポリオレフィン事業を全て新会社に移すことになる。
 統合する3社のうちの「モンテル」は、世界のおよそ30拠点に合計年産400万トン能力のPP(ポリプロピレン)設備を持つPPのジャイアント企業。ベースポリマ-のほか、同27万トンのコンパウンド設備と同35万トンのキャタロイプラントを持つ。また、同22万トン能力のポリエチレン設備も保有している。このうちのPPで同社に次ぐ設備規模を有するのはBPアモコだが、生産能力は同250万トンなのでモンテルとは大きな開きがある。
 一方「エレナック」はPEの総合大手メーカーで、設備能力はLDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、L-LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の三樹脂合計で同200万トンといわれている。
 また「タゴール」は、世界第三位のPPメーカーで、設備能力は同140万トン。ただし、年末までにBASFがセラニーズの出資分を引き受けて全額出資会社に衣替えすることになっている。
 これら3社が統合されると、新会社の総設備能力は、PPが同540万トン、PEが222万トンとなる。PPでは一段と強力な事業基盤をもつことになりそう。一方のPEでも世界第四位の製造能力を持つ。
 現在モンテルは、昭和電工と日本石油化学の両社との共同出資会社「モンテル・エスディーケイ・サンライズ(MSS)」によって日本国内でもPP事業を展開している。MSSの設備能力はコンパウンドを含み同30万トンである。今回の統合計画が実現すると、触媒や重合の技術力ならびに新商品・新市場の開拓力でこれまでにない強力な事業基盤を持つポリオレフィン専業企業が誕生することになる。この点はMSSの今後の事業展開にも有利に働くのではないかと見られる。