1999年11月01日
ダイセル化学、生分解性プラスチックの市場開拓が軌道に
全国各地で大規模フィールドテストを展開
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:ダイセル化学

 ダイセル化学工業は、自社開発した生分解性プラスチック「セルグリーン」(商品名)の性能に自信を得たため、本格的な市場開拓に乗り出す。全国各地の経済連や農家と提携して実験ハウスによる栽培テストを実施するほか、一部製品については有償販売に入る。
 生分解性プラスチックというのは、使用中は普通のプラスチックと同じように使えるが、使用後は水と二酸化炭素に分解されて自然に還る特徴をもったプラスチックのこと。ゴミ処理やリサイクル問題がクローズアップされている中で、新しい高分子材料として注目されている。
 同社が開発した「セルグリーン」には、ポリカプロラクトン系とセルロースアセテート系の2種類があり、土の中に埋めておくと、微生物によって分解され、早いもので半年程度、遅いものでも2年程度で消える。分解速度はある程度調整できる仕組みになっている。
 現在、主として開発に力を入れているのは、PETボトルなどポリエステルに近いポリカプロラクトン系のほうで、用途として生ゴミコンポスト用袋や、農林水産資材、環境土木資材、野外レジャー製品などに期待、これまでに1次、2次のフィールドテストを実施してきた。
 このテスト結果をJISによる評価方法で確認したところ、ほぼ満足できる内容だったという。
 とくに農家のハウス栽培用フイルムに加工し、実際に農産物の生育状況をみたところ、従来のプラスチックフイルムとほとんど変わらない結果が得られた。このため来年からはテスト地域を北海道から九州まで全国に広げ、また農産物の種類もコーン、レタス、カボチャ、大根、白菜、タバコなどに増やして生育状況をみる。
 この技術には海外の関心も高く、中国、韓国、東南アジア各国から引き合いや問い合わせがきている。同社ではサンプルを送るなど、技術輸出にも応じていく方針である。しかし、安全性評価方法の確立や、識別表示、製造コストなど課題もいくつかあるため、本格事業化できるようになるまでに、あと2,3年かかるだろうといっている。