1999年10月29日
現代/サムスンのビッグディール、債権団が日本側提案に異議
現代/サムスンは日本側の提示した資産評価額1兆ウォンを承認
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友商事、三井物産

 韓国の業界筋によると、年内の新会社発足を目標に進められている現代石油化学とサムスン綜合化学の事業統合計画、いわゆるビッグディールは、先ごろ日本側が提出した案に対し、債権団がいくつかの問題があると指摘したことから、難航しているもようだ。サムスン、現代両社は、今春ADLや世東が約2兆ウォンとした両社の資産評価額を、日本側が示した1兆ウォンに半減することを承認しており、今後追加して損失を負担することは難しいとの考えを明らかにしている。
 「この前三井物産から新たな提案が提出された時には、(ビッグディールは)成功すると確信したが、これでまたわからなくなった」というのが、現在の現代/サムスン側の本音だ。三井物産の提案は、三井物産と住友商事の日本側コンソーシアムが5,000億ウォンを出資するほか、国際協力銀行(旧日本輸出入銀行)が2兆8,000億ウォンを韓国の政府系銀行である産業銀行に融資し、その資金を産業銀行が統合後にできる新会社に融資するもの。新会社の資本金は2億ウォンで、出資構成は現代石油化学とサムスン綜合化学が各24.5%、三井物産をはじめとする日本側コンソーシアムが25%となっており、さらに韓国の債権団が5,000億ウォン以上を出資転換することで26%出資し経営権を取得することになっていた。
 その後債権団と統合推進本部が行った会議において、債権団側は「既存の株主に対する損失負担の努力が足りない状態であるにも関わらず出資転換を行うと、他の企業との間で不公平が生じる」として、出資転換は難しいと指摘した。また債権団は、「日本側の提案はあくまでも最終的な形を示したものではなく、日本側の出資比率についてももっと低くなる可能性もある」としている。こうしたことから債権団のメンバーで構成されるCorporate Restructuring Coordination Comittee(CRCC、企業構創調停委員会)は、「現代/サムスンの石油化学事業統合は、両社と債権団の間で損失補償についての論議が拡大しているため、調整が必要になるだろう」とコメントしている。
 一方、現代/サムスン側は、「今春ADL、世東の2社が算定した現代/サムスンの資産評価額約2兆ウォンに対し、今回の日本側の提案では半分の1兆ウォンとなっていたが、現代/サムスン両社は協議の結果、これを承認しており、追加して損失を負担することは困難である」との見解を示した。
 しかし、今年末までに新会社が設立されなければ、来年からそれぞれのグループの負債比率算定の対象に加えられることになり、両グループは韓国政府の示した負債比率200%以下という目標を達成することが困難になる。期限が刻々と近づいているだけに、現代/サムスン、債権団、あるいは日本側の今後の対応が注目される。