1999年10月27日
ポリスチレン、原料高騰でアジア市況の騰勢続く
GP900~950ドル/HIは1,000ドル超に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三井化学、三菱化学

 PS(ポリスチレン)アジア市況の騰勢が続いている。現在のCFR香港価格は、GP(汎用)PSがトン当たり900~950ドル、HI(耐衝撃性)PSは950~1,000ドルとついに1,000ドルを突破した。しかし、実際には玉不足となっているため、「事実上取引としては成立しない価格」(市場関係者)であると見られている。
 PSのアジア市況高騰の主な理由としては、原料SM(スチレンモノマー)の需給が逼迫していることが挙げられる。アジア地域では、今年夏以降日本で定修が相次ぎ、さらに9月下旬には台風の影響で三井化学・宇部が一時停止、三菱化学・鹿島も大型定修の後思うように稼働率が上がらないため10月下旬から設備を2~3週間停止することにした。また出光石油化学・徳山も製品の品質が低下するトラブルに見舞われ、設備を約2週間停止し問題を解決する方針。このほかアジア地域ではインドネシア、タイ、マレーシアなどにおいて設備トラブルが発生、需給逼迫に拍車をかけており、SMのアジア市況もついにトン当たり800ドル台まで上昇している。
 市場関係者は「欧米系のトレーダーが投機的な動きをしていることもあり、現在は極めて異常な状況だ。PSのユーザーが現在のような価格で購入するとは考えにくい」としており、今後の市況は見通しが困難となっている。SM市況も早晩600ドル台半ばに落ち着くと予想されており、一部では当分SMの動向を見ながら対応するといった動きも出ている。