1999年10月25日
三菱化学、PTA輸出価格および国内価格を引き上げへ
輸出価格は2段階でトン50ドル、国内向けはキロ3円
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:三菱化学

 三菱化学は、PTA(高純度テレフタル酸)の輸出価格および国内価格を引き上げる方針を決め、需要家との交渉を開始した。
アジア各国向け輸出価格は、11月出荷分が10月比プラス30ドルのCFR・トン560ドル、12月出荷分がプラス50ドルの580ドルと2段階での引き上げを行う。一方、国内向けについては、11月出荷分からキロ当たり3円の価格修正を行う方針。なお、今回の引き上げは原材料価格が現状レベルを大きく上昇しないことを前提としているとしている。
 同社は、PTAのアジア向け輸出価格を今年3月以降、数回に渡り価格修正を実施しており、10月には70ドル引き上げた530ドル水準で決着している。しかし、原油価格の高騰に伴い、PX(パラキシレン)などの原材料価格も高騰しており、採算是正を図るため、今回の価格修正に踏み切ったもの。
とくに主原料であるPXは、メーカー各社が4Q価格を485ドルで打ち出しており、年初と比較して200ドル近く上昇している。一方、副原料の酢酸も3Qに30ドルアップした410ドルで決着しており、4Qもさらに30ドルの値上げが打ち出されている。
 PTA価格は、PXから原単位ベースで最低プラス250~300ドルが採算点だといわれているが、同社でも適正価格水準を維持するため一段の値上げは避けられないとするもの。
 現在、PTA需給はアジア各国でのポリエステル末端製品需要が好調に推移していることから、需給タイト感が強まっている。とくに先日発生した台湾での地震の影響でポリエステル重合プラントが休止したこともあり、周辺各国の供給が追いつかない状況が続いている。一方、供給側でもトラブルが相次いでおり、SABICの新増設プロジェクトも遅れていることから、一段と需給逼迫感に拍車がかかっている。
 同社でも、国内の松山事業所をはじめ、グループの韓国・三南石化、インドネシア・バクリー化成のいずれもがフル稼働となっており、一部玉をOEMで手配するなど玉手当てに追われる状況がしばらくは続いていくと見ている。