1999年10月15日
アクリル酸エステル値上げ、15円幅で全面決着も依然採算割れ
メーカー各社、第二次値上げ本格検討を開始
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:東亞合成、日本触媒、三菱化学

 交渉が進められていたアクリル酸エステルの値上げ交渉は、9月1日出荷分からキロ当たり15円幅で決着しているが、打ち出しの20円に対して圧縮されての決着に止まった一方で、アルコールを中心とした原料価格の高騰が依然として続いていることから、第二次値上げに向けた検討が本格化してきている。
 アクリル酸エステル値上げは、原料高騰などを背景として今年8月頃に各社からキロ20円幅で打ち出されていたが、15円幅での全面決着となっている。しかし、原料のプロピレン、アルコール価格は8月時点よりも一段と上昇しており、事業採算の悪化が深刻化していることもあり、メーカー筋では第二次値上げも避けられないとして、本格検討を進めているもの。
 需給面では、アジア各国からの強い引き合いにより輸出が好調に推移している一方で、国内需要も回復感が広がっており、供給側では先月の東亞合成・名古屋工場が定修を実施したのをはじめ、今月には日本触媒・姫路工場、三菱化学・四日市事業所が相次いで定修入りすることから、一段と需給タイト化が進むものと見られている。
 メーカー筋では、こうした原料・需給環境から、値上げ打ち出しのタイミングを見ており、値上げ幅は20円前後での打ち出しになるものと見られている。
 なお、エステルと同時に打ち出されていたアクリル酸の値上げについては、現在SAP(高吸水性樹脂)ユーザーとの間で、大詰めの交渉が続いている。