1999年10月15日
三菱レイヨン、メタクリル酸高級エステル値上げ交渉大詰め、第二次値上げも検討
アジア市場もタイト感強まる、中国BMA設備もフル稼働状態
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンは、メタクリル酸高級エステルの国内値上げを打ち出しているが、現在交渉は大詰めを迎えており、今月末には有額回答が出てくるものとされている。しかし、ナフサをはじめとした原燃料価格も高騰が続いていることから、依然として事業採算的に厳しい状態であることから、同社では第二次値上げの検討も開始した。
 現在進められているメタクリル酸高級エステルの値上げ交渉は、BMA(n-ブチルメタクリレート)、iBMA(イソブチルメタクリレート)、HEMA(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、HPMA(2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)がキロ当たり30円、その他の高級エステルが50円幅。高級エステルの用途は塗料を中心に、トナー、繊維処理剤などの原料として使用されるが、現在は国内のみならずアジア地域でも需給タイト感が強まっている。こうした原料、需給環境からユーザーも今回の値上げを受け入れるものと見られており、同社では今後も事業採算の適正化に向けた取り組みを続けていくことになるものとしている。
 一方、輸出市場では、アジア各国の国内経済の回復からコーティング分野を中心に強い引き合いとなっており、市況も3Q以降上昇が続いている。高級エステルのうちマーケットの大きいBMA、HEMAを見てみると、BMAでは年初のCIF・トン1,200~1,300ドルから現在は1,500を越え、HEMAでは1,800ドルから2,000ドルを越えた水準に上昇してきている。同社でも採算面から引き続き輸出価格についても月ごとの契約ベースでの値上げを進めていく方針で、100ドル幅での段階的な交渉を行っていくことになるとしている。
 こうした需給タイト感が強まる中、同社が中国の蘇州において今年1月から商業運転を開始した「蘇州三友利化工有限公司」のBMA年産5,000トンプラントも、好調な輸出に支えられフル稼働状態になっている。同拠点は現在、7割が輸出、3割が中国国内向けの供給体制となっているが、中国国内マーケットも玩具向けを中心に需要拡大が見込まれており、今後も市場拡大に向けマーケティング活動を進めていくことになるとしている。