1999年10月08日 |
塩ビ値上げ決着交渉大詰め、軟質ユーザーも受け入れ回答 |
原料高騰など、厳しい事業環境は変わらず |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:新第一塩ビ、東亞合成、三菱化学 |
PVC(塩化ビニル樹脂)の値上げ交渉は、ここへ来て軟質・電線用途向けユーザーが受け入れ回答を出し始めており、決着に向けて大詰めの交渉となっている。受け入れ額はキロ当たり20円と、打ち出しの満額での決着になるものと見られている。PVC値上げは、既に大手パイプ向けユーザーが20円の受け入れを表明しており、中小口ユーザーも受け入れやむなしの声が広がっていた。 ようやく決着に向かいつつあるPVC値上げだが、ナフサ、EDC(二塩化エチレン)など原料高騰などから、依然として厳しい事業運営を強いられることは確実視されている。 通産省基礎産業局が調査しているPVC製造業の収益状況によると、昨年の1998(平成10)年度は業界全体で148億円の経常損失を計上している。したがって塩ビ業界は1991(平成3)年に40億円の黒字を計上して以来、8年連続赤字を続けていることになり、今年度についても上期は100億前後の赤字は確実(大手PVCメーカー)とされていることから年度での黒字回復は困難との見方が支配的になっている。 こうした厳しい事業環境が続く塩ビ業界だが、今年に入って新第一塩ビの新体制、三菱化学と東亞合成との本格合弁など業界再編の動きが一段と強まっており、大手PVCメーカーも再編に向けた動きを模索していると見られることから、大幅に業界地図が一変する可能性もささやかれている。 |