1999年10月05日 |
奇美実業、中国のPS設備が高稼動で推移 |
ABS樹脂建設も順調/今後PS倍増やエラストマー新設を検討 |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:旭化成 |
台湾の奇美実業は、昨年中国・江蘇省鎮江で年産30万トン(2系列各15万トン)のポリスチレン(PS)設備を稼動させたが、操業後1年余りを経過し稼働率は80~85%の高操業が続いている。同設備は、鎮江における計画でフェーズ〓に位置付けられており、現在はフェーズ〓として2000年後半から年末の完成をめどに年産25万トン規模のABS樹脂生産設備を建設中だ。さらに今後もPSの倍増やエラストマーの新設を検討している。 奇美実業は、1998年6月に第1系列を稼動、9月までに残る1系列を稼働した。この結果同社のPS生産能力は、台湾に有している40万トンとの合計で70万トン体制に拡大した。その頃中国は、樹脂の密輸取締りのため税関査察が強化され、海外からの玉が入りにくい状況にあったため、結果的に国内生産への依存度が高まった。こうしたこともあって、同社の設備稼働率は80~85%と計画以上に好調に推移している。 また現在は、鎮江における計画の第2弾として、ABS樹脂25万トン設備の建設を進めており、早ければ2000年後半にも完成する見通しだ。同社は、鎮江に一大樹脂生産拠点を構築する考えで、ABS樹脂に続くフェーズ〓では好調なPS設備の倍増、フェーズ〓ではエラストマーの新設を検討している。 江蘇省では現在、シェブロンが2000年初頭の稼働予定で10万トンのPS設備の建設を進めているほか、先ごろ米ダウ・ケミカルと旭化成工業が2002年初頭の稼働予定で12万トン設備の新設を正式に発表した。このため奇美実業も、中国の需要拡大とともに各社の競争が激化すると見ている。 |