1999年09月30日
旭硝子、ICI社のフッ素樹脂事業買収で契約調印
米・英の3工場を一括買収、グローバル体制確立へ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:旭硝子

 旭硝子は30日、英ICIと同社のフッ素樹脂事業(PTFE樹脂の開発・製造・販売事業)を買収することで合意し、同日(英国時間29日)基本契約を締結したと発表した。年内には買収を完了する。
 旭硝子は1981年からICIと折半出資の合弁会社「旭アイシーアイフロロポリマーズ」(現旭硝子フロロポリマーズ=AFP社)を通じて日本におけるPTFE事業を共同運営してきたが、今年1月、ICIから保有株式を買収、旭硝子の完全子会社となった。さらに同社はフッ素樹脂事業の拡大を図るため、ICIがもつPTFE樹脂の全事業を買収することにしたもの。
 ICIはPTFE樹脂生産拠点として英・ヒルハウス工場(ランカシャー州)と米・ベイヨン工場(ニュージャージー州)のほか、フッ素樹脂コンパウンド工場を米・ソーンディル(ペンシルバニア州)にもっている。売上高は約1億1,000万米ドル(1998年実績)。同社はこれらの事業を一括買収することにより日・米・欧にAFP社と合わせて四拠点を持つことになり、開発から製造、販売まで一体となったグローバル体制を確立することになる。世界シェアは現行6%強から約3倍に高まるという。同社は受け皿会社として米国に「旭硝子フロロポリマーズUSA」、英国に「旭硝子フロロポリマーズU.K」を設立、買収後はそのまま事業運営に当たる。同社はこれまで事業の選択と集中を図ろうと「シュリンク・トウ・グロウ」(Shrink To Grow)戦略を掲げてきた。PTFEを含むフッ素樹脂事業はコア事業と位置づけ、積極的に拡大していく方針だった。
 PTFE(四フッ化エチレン)樹脂は、耐薬品性、耐熱性などに優れ、フッ素樹脂の中でも最も広く使用されている。需要は全世界合わせて年間6万トン強、日本国内でも8,000トンに達し、フッ素樹脂全体の約6割を占めている。用途はシート、チューブ、テープなどの加工品で、半導体製造関連・自動車部品をはじめ家電など幅広い産業分野で使われている。