1999年09月25日
旭化成/ダウ、中国でPS12万トン設備を新設
契約締結~1999年末着工/2002年初頭稼動
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:旭化成、三菱化学

 旭化成工業と米ダウ・ケミカルは24日、合弁で中国・江蘇省張家港(ジャンジャガン)市に年産12万トンのポリスチレン(PS)製造設備を建設することで合意した、と発表した。同日付で関連契約書に調印したもので、1999年末に着工、2002年初頭の稼動を予定している。これにともない旭化成は、アジア地域で戦略基盤を確立するとともに、1999年10月1日からは三菱化学との合弁会社エー・アンド・エム スチレンに対し、販売業務に加え両社の製造・研究部門を移管する予定であり、同社との連携でさらなる事業基盤の強化・拡大を図る考え。
 旭化成とダウは1994年、折半出資により香港にPS販売会社スタイロン・アジア・リミテッド(SAL)を設立、アセアンおよび中国におけるPSの販売を行ってきた。中国は、現在もPS需要の大半を輸入でまかなっており、SALもこれまで香港、日本など両親会社の既存設備から中国でPSを輸出販売してきた。しかし、中国のPS需要の成長が高水準で推移する一方で、既存設備のみでは供給が不足しており、日系およびローカルユーザーへの安定的、迅速な供給体制の確立とコスト競争力強化のため、中国国内への設備建設が必要となっていた。
 こうしたことから両社は、中国政府の正式認可を得て1998年10月にPS製造販売の中国現地法人「スタイロン石化(張家港)」(中国語名:斯泰隆(張家港)有限公司、英文名:SAL Petrochemical(Zhangjiagang)Co.Ltd.)を折半出資で設立、土地の取得および整地を進めてきた。一方、これに併行してPS新設に向けて詳細な事業スキームの検討を続けてきたが、今般この点についても合意し、調印したもの。
 新設備の生産能力は12万トンで全量HI(耐衝撃性)PSを生産、今年末に着工し2002年の稼動を予定している。中国のPS需要は現在の約130万トンから、2002年には160万トンに拡大、年率7%程度の成長が続くと見ており、新設備に加え香港、日本の既存設備から23~24万トンを輸出、合計35~36万トンを中国で販売する考えで、中国市場で約20%のシェア獲得を目指す。また原料スチレンモノマー(SM)については、両親会社が供給する。
 なお石油化学業界で日本企業による本格的な中国進出は初めてであり、旭化成にとっても初のPSでの海外進出となる。