1999年09月20日
昭和電工、連結中期経営計画を策定~基本戦略と実行戦略の2本立て
総合化学から個性派化学へ~2005年に連結ROA5%目標
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工は20日、「総合化学から個性派化学へ」をスローガンとする連結中期経営計画を策定した。本中計は基本戦略と実行戦略の2本立てで、2005年の経営目標として連結ROA5.0%、連結デット・エクィティ・レシオ2.5倍以下を掲げているほか、2002年までの3ヵ年実行計画「チータ・プロジェクト」では、売上高は6,900億円と減少するものの、有利子負債残高や従業員の圧縮、バランスシートの改善と収益力の回復を目指す。

 まず、2005年を目標とした経営基本戦略では、「企業価値を極大化させ、株主に最大限の満足を与える」ことを目的とし、経営戦略の基本を「ターゲット市場を明確にし、コア・コンピダンスを軸に個性的な事業展開を図り、個別事業で世界一を目指す」ことに置いている。収益力の指標に定めたROAは連結ベースで5.0%、連結デット・エクィティ・レシオは2.5倍以下という目標を設定し、2005年までに実現する。ターゲットとする市場は、エレクトロニクス関連、自動車関連、生活・環境関連の3分野で、これらの分野ではグローバルな成長を期待している。さらに電子・情報、高付加価値アルミ加工品、特殊化学品の3事業は、成長戦略事業に位置付けた。また、技術の強み(コア・コンピダンス)は、非鉄金属を含む無機系技術を核に、これまで培ってきた有機系技術も活用し、高付加価値で魅力あるマテリアルズを顧客に提供することであると自己分析し、融合技術の例としてハードディスク、化合物半導体、アルミ固体コンデンサなどを挙げている。

 なお事業ポートフォリオのセグメント別の位置付けについて、石油化学事業は、基幹事業としてフリーキャッシュを創出、グループの基盤を支えることとし、樹脂加工品のうち射出成形事業は売却・撤退し、その他の事業も厳しく選別する。化学品は、特殊化学品を強化しつつ、フリーキャッシュを安定的に創出する体制の構築を目指す。また電子・情報は無機、有機の技術力を結集、将来のグループを支える事業とすべく資源を投入する。さらに無機材料は、大胆なリストラを実施して、収益力の回復を図る考えで、セラミックス半用品には抜本的な措置を講じ、金属は売却・撤退する。このほかアルミニウムは、将来ともグループの重点分野として高付加価値アルミ加工品を中心に強化していく。

 次に、2000~2002年までの3ヵ年実行計画「チータ・プロジェクト」の全体数値計画は表記の通り。チータ・プロジェクトは、スピーディ、ソリッド、ストラテジックをコンセプトに、この3ヵ年を新たな成長に向けた経営刷新期間に位置付け、全体の拡大を図ることよりも「飛躍のための戦略的縮小」を図り、強固な収益力基盤の構築を目指す。2002年の経営目標のポイントは、〓バランスシートの改善と〓収益力の回復の2点で、〓については連結有利子負債を1998年比で1,000億円削減、1998年末の連結欠損金665億円の一掃を図る。〓では、2005年の基本戦略と同様、収益力の指標とする連結ROAは2.0%、連結売上高は6、900億円(1998年:7,309億円)、連結営業利益510億円(同295億円)の実現を目指し、総労務費は1998年比で200億円削減する。

 連結欠損金の一掃については、通常の事業活動による削減に加え、事業や関係会社の売却で対応する。内訳として1999年度(資産売却を含む)の改善で50億円、2000~2002年に340億円、事業や関係会社の売却で370億円を見込んでいる。また事業ポートフォリオに基づきリストアップ済みの事業、関係会社15社以上を売却する。連結有利子負債1,000億円の削減については、連結欠損金と同じ順にそれぞれ265億円、430億円、500億円を見込んでいる。

 人員削減は1998年末の連結人員数1万3,464人から、2002年末に約20%に当たる2、500人(うち出向者を含む単独が1,000人、関係会社1,500人)を削減、1万1,000人以下とする。また本社費は、1998年末の200億円に比べ20%、40億円を削減、160億円とする。

 設備投資は3年間で減価償却費1,260億円を下まわる1,200億円(うち成長戦略事業に750億円、オレフィンやガス・化成品、人造黒鉛電極など基盤事業に450億円)を投入するほか、研究開発投資は3年間で610億円を投じる計画で、内訳は成長戦略事業が400億円、基盤事業が210億円となっている。

 組織改革については、外資系コンサルタント会社を導入、企業カルチャー変革と本部組織の改革を断行、効率的でソリッドな体制を構築する。具体的には、戦略企画本部を設置して全社戦略・企画機能を統合・強化や、本部サービス機能を集約するビジネス・サポートセンターの設置、対内外部対応諸機能の統合とIR活動強化を目的とするコーポレート・リレーション部の設置、また事業部門内の企画機能を強化、サプライチェーンマネジメントセンターの設置や販売チャネルの整理・再編などに取り組む。

http://www.c-nt.co.jp/news/sdk_p.htm target=top>昭和電工チータ・プロジェクト全体数値計画(表)
http://www.c-nt.co.jp/news/sdk_s.htm target=top>昭和電工セグメント別数値計画(表)