1999年09月09日
ドイツEVC、VCM新製法技術で米国ベクテルと提携
エタンベースの新製法、製造コスト3分の1に
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三井化学

 ドイツの大手塩ビメーカーのEVC(European Vinyls Corporation)は、アメリカの大手エンジニアリングメーカーであるベクテル社と、エタンを原料とする新製法のVCM(塩化ビニルモノマー)生産技術で提携した。
 新製法により2003年までに実証プラントを欧州において建設する方針で、既存のプラントとの差別化を図るとしている。
 今回両社が提携した技術は、エタンと塩素を直接反応させるもので、今までのエチレンからEDC(二塩化エチレン)を経由する製法と比べ、製造工程が一段階少ないことからコスト的に有利であるとしている。同社ではエタン価格を考慮するとコストは3分の1にまで削減できるとしている。
 同社では現在、ドイツ・ウイルヘルムヘーゲンの年産1千トンのパイロットプラントにおいて実証を行っているが、約1年間のテストを行い技術確認は終了したとしている。
 EVC社は、PVC(塩ビ樹脂)年産120万トンを持つ欧州最大のPVCメーカー。一方のベクテル社は、米国大手エンジニアリング会社で、とくに塩ビ製造技術に関してはEVC社と連携して多くの実績を持つ。
 VCMの製造技術は、EVC社と日本の三井化学が大手ライセンサーで、とくにアジアの新設プラントでは両社が凌ぎを削る状況が続いている。今回の新技術が、こうしたライセンス関係にどういう影響を与えるかにも注目が集まってくるものと見られている。