1999年08月20日
三井化学、米国ダウケミカルと高性能触媒の共同開発で合意
メタロセン触媒分野でも相互ライセンス、「インサイト技術」触媒利用が可能に
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は19日、米国ダウケミカルと、エチレンやプロピレンなどのオレフィンと極性コモノマーとの共重合を可能とする新しい高性能触媒を開発するための共同研究を行う、と発表した。両社が持つオレフィン重合用触媒およびメタロセン触媒の性能を超える触媒の開発を目指すことになるが、さらに両社では、メタロセン触媒によるエチレン・コポリマー分野において、相互に特定の特許権をライセンスすることでも合意した。
 共同研究では、両社の触媒知識・経験を組み合わせることにより、従来のチーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒では困難であった、オレフィンと極性コモノマーとの共重合体の製造、分子構造の制御された共重合体の製造など、商業的に意味のある触媒の開発が期待できるとしている。
 メタロセン触媒での相互ライセンスの範囲には、全ての密度のエチレンとオレフィンの共重合体、エチレン/オレフィン/ポリエンの共重合体製品が含まれており、両社では各々のメタロセン触媒によるエチレン・コポリマーの製造・販売の自由度を一層増加させることが可能となる。さらに同社では、自社プラントにおいてダウケミカルが所有する「インサイト技術」触媒を用いた、これら製品を製造することが可能となる。
 両社は、オレフィン共重合用触媒、メタロセン触媒によるエチレン・コポリマーの開発と商業化における世界的なリーダーであるだけに、エクソンケミカル、UCCなど、メタロセン触媒の他陣営に与える影響が大きいとして、今後の動向が注目されることになる。
ダウケミカルの「インサイト技術」事業担当のEd Gambrell副社長は『優れた重合触媒技術とポリマー技術を有する三井化学と共同研究ができることをとても嬉しく思っています。』三井化学の中西宏幸社長は『ダウケミカルおよび当社のこれまで培ってきた開発力の相乗効果により、重合触媒の世界において新たな機会が拓かれることを期待しています。』とそれぞれコメントを発表している。