1999年08月17日
鐘淵化学、PVC9月21日納入分から20円値上げ
ペースト塩ビも値上げへ、原料価格高騰で採算悪化進む
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 鐘淵化学工業は17日、塩化ビニル樹脂(PVC)の国内販売価格を9月21日納入分からキロ当たり20円値上げする、と発表した。同時に特殊グレードである塩ビペースト樹脂についてもキロ20円幅で9月21日納入分から値上げを実施するとして、需要家との交渉を開始した。
 同社では、一昨年にもPVC値上げを実施しているが、その後の需要低迷により販売価格が下落し、採算悪化が強まっていた。さらに今年に入りナフサ高騰などにより、主原料であるエチレンおよび二塩化エチレン(EDC)価格も高騰しており、一段と採算悪化が進んでいた。
 PVC値上げは昨年11月にも打ち出されていたが、ユーザーの強い抵抗から、実質的に不発に終わっていた。こうしたことから同社でも塩ビ管をはじめとする需要家サイドの製品市況および需要、競合他素材の価格動向など慎重に見極め、再打ち出しのタイミングを図っていた。こうした中、6月には国内需要実績が前年を上回り、また秋需にも期待が持てる状況となりつつあり、競合他素材の値上げも進行していることもから今回の値上げに踏み切ったもの。
 海外のPVC価格も、アジア各国、アメリカなどで引き合いが好調なことから上昇が続いており、9月には日本メーカーのアジア向け価格はCFR620ドルがアナウンスされ既にほぼ決着している。アメリカでも年初に比べポンド10セントの値上げが行われているが、9月にはさらに2セントの値上げがアナウンスされており、需給タイト感を背景に浸透するものと見られている。
 こうした全世界的に上昇が続いているPVC価格だが、原料価格も依然として上昇が続いており、適正な国内価格形成による採算悪化の是正が急がれている。