2000年08月07日 |
塩ビ値上げ、8月中の決着目指し一段と交渉本格化 |
夏休み返上の構え、危機感強まる |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:チッソ |
PVC(塩化ビニル樹脂)の国内値上げ交渉は、レジンメーカーでは夏休み返上の構えで今月末までの決着を目指し、一段と交渉を本格化させている。 PVCの国内価格値上げは、原油、ナフサ、EDC(二塩化エチレン)など原料価格が高騰、採算の悪化が深刻化していることから3月にキロ20円幅で打ち出されている。しかし、ユーザーの抵抗は強く、交渉が長期化しているもので、メーカーでは何としても今月中には浸透を図りたいとしている。 一部ユーザでは理解を示しているものの、依然ゼネコンを中心とした先行き不透明感が強いこともあり、自社製品の価格転嫁が困難だとして値上げ受け入れに抵抗を示している。 しかし、今年に入って業界再編が進んだこともあり、ポリマーでは7月にチッソの五井工場の設備が休止したことで、昨年と比べて約20万トン強の設備が休止、下期には本格的に需給バランスが締まってくると予想されている。実際に在庫水準も定修が集中した5月には16万トンであったものが、6月末には12万トン台と急速に減少している。 メーカー筋では「9月から11月には定修も予定されていることから、ものがなくなる可能性もある。輸出についても、国内ユーザーとの取引関係と変わりはなく、現在の月6万トン台というレベルは決して多いとは考えられない。」としている。 また採算面についても「昨年度は業界全体で129億円の経常赤字を計上しているが、4月以降の原料値上がりを考えると、一段と深刻な状況となっている。今回の値上げ打ち出しは3月だったこともあり、一部では予算に織り込んでいるユーザーもいる。何としてでも8月中に決着に持っていかなければ、事業存続が困難になる。」と危機感が広がっている。 |