2000年08月07日
プラ協、産業系廃プラの発生・有効利用状況を調査
最大の発生源は総合工事業、最多の有効利用法はマテリアル
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:プラスチック処理促進協会

 プラスチック処理促進協会は4日、平成11年度に実施した「産業系廃プラスチックの発生・有効利用に関する実態調査」の結果の概要を発表した。
 これは、化学工業や総合工事業など合計14業種の全国の事業所を対象に、廃プラスチックの(1)発生量(2)種類と形状(3)発生構造(4)処理状況(5)有効利用状況(6)今後の有効利用の推進課題--等についてアンケ-ト調査した結果を取りまとめたもの。対象事業所数は約2万、回収率は約25%であった。廃プラスチックの排出と有効利用に関する産業分類別の全国レベルの調査はこれが初めてとあってその内容が注目される。
 同調査によると、産業系廃プラスチックの全国ベ-スの推計発生総量(FRP、合成繊維、ゴム類、合成皮革含む)は年間569万2,000トンとなっている。排出源のトップは総合工事業で排出量は162万トン達している。また、排出される廃プラスチックのうち最も数量が多いのはポリエチレン製品。形状別ではフィルムが最多となっている。処理に当たっては、処理業者に委託するケ-スが最も多く全体の62%を占めている。中間処理の方法は破砕が最多で25%を占めている。
 一方、有効利用率は43%で、数量にすると245万2,000トンとなっている。有効利用のうちマテリアルリサイクルが44%と最も多く、サ-マルリサイクルの29%がそれに続いている。
 今後推進すべき有効利用の課題としては、(1)単独の素材・樹脂として分別・回収できるように製品の設計・製造を見直すこと(2)多様なリサイクル技術の開発・利用を促進すること(3)業種ごとの取り組みを促進し、同時に業種間の連携の強化を図ること--の3点が挙げられている。

 この日発表された同調査の報告書の概要は次の通り。
(1)廃プラスチックの発生量
 発生原単位(従業員1人当たりの廃プラスチックの発生量)の高い業種は、プラスチック製品製造業(1人当たり年間2,654キログラム)、ゴム製品製造業(同1,496キログラム)、パルプ・紙・紙加工品製造業(同1,091キログラム)であった。こうしたデータから推計した全国ベ-スの発生量は年間569万2,000トン。うち総合工事業が162万トンと最も多く、プラスチック製品製造業は133万5,000トン、化学工業は55万7,000トン、パルプ・紙加工業は35万2,000トンとなっている。
(2)形状の種類
 フィルム・シ-ト類が25%で最も多く、成形品類が15%でそれに続いている。
(3)樹脂の種類
 最も多いのはポリエチレンで全体の19%を占め、以下、種類がはっきりしない熱可塑性樹脂の16%、ポリスチレンの12%などが続く。
(4)発生構造
 製造工程の不良物が41%で最も多く、梱包材・輸送材が20%、裁断くず等が14%などとなっている。
(5)分別状況
 単独樹脂として分別されている割合は33%で、化学工業が最も単独分別の比率が高い。
(6)処理状況
 処理業者への委託割合が62%を占めている。総合工事業の委託割合は98%と特に大きい。自己処理が多いのはパルプ・紙・紙加工品製造業や食料品製造業など。中間処理方法は破砕が25%と最も多く、焼却がこれに続いて22%となっている。最終処分は埋め立て処分が44%で最も多い。再生プラスチック原料化は18%である。
(7)有効利用状況
 有効利用率は43%。量にして245万2,000トンである。最も利用率が高い業種は金属製品製造業で81%、化学工業は69%、プラスチック製品製造業は68%である。有効利用の内訳は、マテリアルリサイクルが44%で最も多く、以下はサ-マルリサイクルが29%、高炉還元、熱分解油、ガス化、セメント原料化などが合計13%。残りは不明や再使用となっている。マテリアルリサイクルが多いところとしては、非鉄金属製造業(68%)、プラスチック製品製造業(68%)、一般機械器具製造業(58%)などが挙げられる。サ-マルリサイクルの割合が多い業種は、総合工事業(69%)、食料品製造業(69%)、印刷・出版・同関連製造業(67%)などがある。