2000年08月04日
OA機器のハウジング、欧州難燃材規制の動き鈍りブロム系に戻す動きも
一方で最終的には2004年までにノンハロゲン化へ
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 OA機器や家電メーカーは、ドイツのブルーエンジェルマークをはじめとした欧州の難燃材料に関する規制の動きが鈍化していることから、一部で再びブロム系難燃材料の採用を検討する動きが出ている。ただし、2004年までには多くのメーカーがノンハロゲンの難燃材料に統一する考えで、今後の動向が注目される。
 OA機器などのハウジングに用いられる材料は、数年前から欧州を中心にノンハロゲン系難燃剤を用いた材料にのみエコラベルを与える動きが進み、徐々に対象製品を拡大してきた。当初はこの規制について日本の樹脂メーカーは、「欧州が過敏な反応をしているだけ」と軽視していたが、プリンターを初めとしたOA機器メーカーは、エコラベルを取得していない製品が売れなくなってきたことから、樹脂メーカーにノンハロゲンの難燃樹脂を求める動きが強まった。
 この結果、特にOA機器のハウジング向けの主力材料であった難燃ABS樹脂は、PC/ABSあるいはPC/PSなどのアロイ材料や変性PPE(ポリフェニレンエーテル)などの樹脂にシフトが進んだ。このためABS樹脂メーカー各社がノンハロ難燃グレードの開発に取り組んでいる。一部では、米ULのV-0を満たすグレードの開発に成功しているものの、価格と性能の両面で比較した場合、PC/ABS、PC/PSなどのアロイや変性PPEに対抗するのは困難であると見られている。
 欧州を中心とした難燃材料の規制は、行き過ぎである、またハロゲンだけを規制すれば良いのか、などの批判もあって、最近は動きがやや鈍っている。こうしたことからOA機器メーカーは、基本的にはノンハロゲンの難燃材料を採用するものの、一部で従来のブロム(臭素)系難燃剤を用いた樹脂に戻すことを検討し始めている。このため、短期的には再び難燃ABS樹脂の採用が増えてくる可能性もある。
 ただし、OA機器メーカー大手は、2004年頃をめどにハウジング材料を全てノンハロゲンの難燃材料にする方針を明らかにしている。今後、ブロム系難燃ABS樹脂の需要が回復したとしても、中長期的には、価格と性能の両面で対抗できるノンハロV-0グレードを開発できるかどうかが重要なポイントであり、実現できない場合には市場を明け渡さざるを得ない状況になることも考えられる。