2000年07月28日 |
透明ABS樹脂、アジア市況は2,500~2,600ドルで推移 |
新規参入の奇美実業の動きに対する反応に注目 |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:なし |
ABS樹脂の透明グレードは、依然として需給バランスのタイトな状態が続いており、現在アジア市況はトン当たり2,500~2,600ドルのレベルで推移している。一方で、6月から新規参入した台湾・奇美実業は現在、2,300ドルでオファーしているもようだ。 ABS樹脂の透明グレードは、スケルトンブームを背景に需給は極めてタイトな状況にあり、汎用グレードに比べ1.5~2倍近い価格で取り引きされる状況が続いている。このためアジア市況は現在、2,500~2,600ドルで推移しており、さらに日本のメーカーの輸出価格は2,600~2,800ドルの水準にある。 このようにタイトバランスで推移するなか、ABS樹脂の世界最大手である奇美実業は、連続塊状重合プロセスによる生産技術を開発、パイロットプラントによる生産を経て、6月から台南の年産1万トン系列で本格生産を開始している。他のメーカーが他のグレードとの切り替えによる生産のため、思うように増産できないなかで、同社は専用系列を割り当てており、コスト競争力が高いと見られている。さらに同社は年末までに生産能力を3万トンに引き上げ、一般グレードに続いて、高流動、耐熱、押出、高剛性などのグレードをラインアップに加えていく方針だ。 奇美実業は、サンプル出荷を進めながら拡販を目指しており、現在のオファー価格は2,300ドルと市況を200ドル以上下回る水準となっている。同社の透明グレードの採用が本格化するには、もう少し時間がかかる見通しだが、今後の市場の反応および、迎え撃つ他社の動向が注目される。 |