2000年07月27日
昭和電工子会社のショウティック、アルミニウム新鋳造技術を開発
アルミニウム合金溶湯から直接鍛造用素材を製造
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:昭和電工

 昭和電工のアルミニウム部門子会社であるショウティックは27日、一方向凝固鋳造法を用いてアルミニウム合金溶湯から直接、鋳造用素材(ブランク材)を製造する、画期的な新鋳造技術「S法[SHOTIC法](仮称)」を開発した、と発表した。
 高品質鍛造用品のブランク材は、一般的には連続鋳造棒や押出し棒を切断して造られるが、今回のS法ブランク材を鍛造素材に利用することで、同等の品質で、かつ低コストな鍛造品の製造・供給を可能とした。S法材は、JIS鋳物用合金のほか、展伸材合金について、外接円径40~120φ、厚さ9~50mm、質量70~1,500グラムの鋳造サイズが可能。このブランク材を利用した鍛造品は、(1)複雑形状の鍛造品製造の際、最終形状に近いブランク材が使用できるため、連続鋳造棒などを使用する場合よりもブランク材の重量を削減できるうえ、鍛造工程が簡素化される、(2)鋳造に使用されたアルミニウム合金溶湯の全てがブランク材となるため、溶湯の歩留まりが100%に近い、(3)ブランク材の体積が一定のため、鍛造製品の寸法精度が向上する、(4)ブランク材内部に巣(空洞欠陥)やミクロシュリンケージ(顕微鏡レベルの微細欠陥)などの鋳造欠陥や、酸化物などの巻き込みが発生しにくいため、鋳物、ダイカスト品に比べ高品質(ただし、製品形状に応じて利用の仕方に工夫が必要)、などの特徴を有する。
 ショウティックは、アルミニウム鍛造製品分野に特化して、素材から鍛造品まで一貫した開発・生産体制を有しており、自社開発の気体加圧式ホットトップ鋳造法(V法)と水平式完全連続鋳造法(H法)による鍛造用連続鋳造棒で、世界一の生産量を誇っている。今回開発されたS法材を使用した鍛造品は、すでにBTRシリンダードラムとして1,000万個以上の販売実績を挙げているが、今後は足回り大型鍛造品を含む自動車部品市場をメインターゲットに拡販活動を展開、S法材による鍛造品を将来の主力事業として育成、現在4億円の売上高を、2002年には20億円に拡大させる考え。
 なお、同素材の製法と装置、それによる鋳塊については、日本及びヨーロッパで特許を出願中だが、米国ではすでに2件の特許が成立している。