2000年07月27日
チバSC、DPS社と産業用デジタルプリンティング技術を開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ

 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(チバSC)とデジタル・プリンティング・システム(DPS)は27日、DPS社が提供する産業用プリンター向けのハイテクインキを共同開発した、と発表した。
 今回の顔料や染料を含むインクジェット用水溶性インキの製品レンジは、「drop-on-demand」方式におけるピエゾ方式と連紡方式両方に適用可能で、DSPがオランダおよび米国ニューヨークで建設中の生産施設で製造される予定。このインキのレンジは、顔料または染料を含んでおり、広範囲の素材に使用可能なほか、紙、ビニール、不織布、また繊維にも特別な前処理や後処理なしで直接プリントすることができる。また、特に染料インキは、昇華、反応性、分散、酸性染料で構成され、繊維産業でのあらゆる素材に対応する。ユーザーの仕様に合わせ合成するため、色落ち、摩耗、クリーニングによる劣化などに強いことも特長となっている。
 両社共同開発による製品は、インクジェット技術の最先端をいくもので、プリンター用に特に開発されたインクは、デジタルプリントの技術の面だけでなく、スピード、柔軟性、コスト面にも優れている。また、デジタルプリントにはあらゆる顧客仕様への対応、作業の効率化、少量多品種のオーダーへのクイックレスポンス、そして効率よい在庫管理が可能であるなどの長所を有している。
 チバSC・カラー事業部の新規事業開発責任者であるマイケル・ミードル博士は、インクジェット印刷を、「クリーンで、クリエイティブで、コンペティティブ(競争力が高い)」な技術であると表現、続けて「クリーンであるとは、色材がすべて素材に固着し、廃水中に流出しないこと、インキが液状で粉塵がないこと、水とエネルギーの消費が少ないことだ。また、クリエイティブである、ということは、迅速な作業が可能で柔軟性に富んでいるだけでなく、あらゆるデザインに対応できる上にコンピューター上でクリックするだけで、色とデザインを自在に変化させることができることである。コンペティティブであるとは、非常に費用効果が高く、完全な再現性が得られる、つまり顧客仕様への応用が簡単であることだ」と語った。
 DSPのインクジェット・プリンターの新世代機、DPS65は、アプリオン・マジック ピエゾ技術を採用、装飾性の高い製品の工業印刷用に開発されたDPS65は、1時間に185平方メートルのプリントが可能。印刷幅は、最大160センチメートルまでで、6色の幅広い色調を表現することができる。この新しいデジタル印刷技術は、壁紙、床材、窓の装飾、寝具、室内装飾など家庭用から商業用まで、様々な用途での使用が期待されている。
 DPSの社長であるバリー・マイヤー氏は、「DPS65は、色とデザインをパーソナルなものにするというトレンドを理解しているユーザーにアピールする製品。一瞬のうちに、最小のコスト、廃棄物、ロス時間で、デザインを製品化できる」と説明している。
 なお、新製品は、DPS65ならびに染料インキの新ラインで、ドイツ、デュッセルドルフで5月18~31日に開催された、DRUPA(印刷機器・システム関連の国際展示会)で発表されている。