2000年07月26日 |
チッソ、発光たん白質イクオリンの高次構造を世界で初めて明らかに |
高純度バイオフォトンセンサーの販売を開始 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:チッソ |
チッソは26日、米国ボストン大学、ウッズホール海洋研究所、三重大学との共同研究で、発光たん白質イクオリンの高次構造をX線結晶解析法により世界で初めて明らかにした、と発表した。 イクオリンは、発光オワンクラゲの発光部位から単離されたたん白質で、カルシウムイオンと特異的に結合して発光する性質を持っている。また、イクオリンはたん白質部分のアポイクオリン、発光基質セレンテラジンと分子状酵素複合したユニークな構造をしている。イクオリン分子にカルシウムイオンが結合すると青色の瞬間光を放出する。低濃度のカルシウムイオンに対しても敏感に発光し、生細胞に毒性がないことが特徴。 今回、構造解析に使用されたイクオリンは、組み換え遺伝子手法を用い、アポイクオリンからイクオリンを再構成した後、精製を行ったもので、この高純度精製技術の確立が結晶解析につながったもの。イクオリン構造が明らかになったことで、新しい機能を付加した新規イクオリンを創出する可能性がでてきた。その詳細は5月18日付けの英国科学雑誌「ネイチャー」に掲載されている。 チッソ横浜研究所は、国内外の研究機関と協力して生物発光関連の遺伝子の単離、および精製技術の研究を推進している。イクオリンの発光機構の研究を通して、イクオリン遺伝子、変異型遺伝子および製造法の特許を取得、高純度イクオリンの精製技術、基質セレンテラジンの合成法も確立している。また種々のルシフェラーゼや他の生物発光関連の遺伝子特許も取得している。 イクオリンは、カルシウムイオンと結合して発光する性質を利用して、超微量物質を検出する事が可能となる。例えば発光標識としてイクオリンを結合させた検出成分に対象となる物質を結合させた後、カルシウムイオンを添加して、その発光を確認することにより、特定の成分の検出が可能となる。その原理を応用し、遺伝子診断や、細胞内生体機能の解析、さらに環境汚染物質の検出などへの応用を進めている。 バイオフォトンセンサーとしての用途のほか、発熱しない青色の幻想的な光を放つことから、イベント、玩具向けなどへの展開も期待されている。 同社ではイクオリンを販売、高純度バイオフォトンセンサー向けに用途開発を進めている。 高純度イクオリンは、アトー株式会社から今年4月から販売開始されている。 |