2000年07月18日
三菱レイヨン、排水処理用中空糸膜ユニットを発売
3年後に50億円の販売目指す
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:三菱レイヨン

 三菱レイヨンは18日、中空糸膜の耕造と製造方法の改善により処理性能の向上と低コスト化を実現した、排水処理設備用の中空糸膜ユニット「ステラボアーSUR」を25日から発売する、と発表した。また同社は、25~28日までインテックス大阪で開催される「下水道展2000大阪」に同製品の2段積層タイプを展示する。
 SUR中空糸膜エレメントは、ステラボアーSURに組み込まれる新型のユニットで、従来の膜エレメントが3~4枚の中空糸膜層で構成されるのに対し、1枚の中空糸膜層で構成されている。従来型の複数膜構造では、膜と膜の接触による膜面積ロスが発生していたが、同社は構造の単純化と積層利用により全体の中空糸膜が有効に使われるとともに、大規模な処理量をカバーする理想的な構造を実現した。また、中空糸膜の組み立て自動化により量産効率の改善が見込まれることから、中期的には大幅なコストダウンも可能になる。さらにO-リング接続により、ユニットへの膜エレメントの交換も容易になる。
 ステラボアーSURは、膜分離活性汚泥法による排水処理設備専用に開発した製品で、新開発のSUR中空糸膜エレメントをフレームに組み付けた後、散気管を取り付けた中空糸膜ユニット。従来の膜ユニットは、散気管と膜が一体となった構造のため、処理量をアップするには、膜部と散気管の増設を必要としていたが、今回の新製品は散機関部を膜ユニット下部に独立させることで、膜部を縦方向に3段まで積層することが可能なため、中小規模から大型の排水処理設備に対し、処理量にあわせたコンパクト設定が大きな特長となっている。
 三菱レイヨンは今回の新製品を世界展開に向けた戦略製品に位置付けている。膜処理技術による排水処理設備は世界的に注目されており、膜分離活性汚泥法を下水道処理に応用するため、現在日本(三郷市)、米国(サンディエゴ市)、オランダ(ベベルバイク市)、韓国(九里市)などで下水処理実験設備が稼動しているが、これらの施設ではステラボアーSURが試用されている。特にサンディエゴ市の設備では1年半の試験期間を終了、数年後には実プラントへの採用を待つ段階となっている。
 こうしたことから同社では、3年後のステラボアーSUR販売目標として50億円を見込んでいる。