2000年07月10日
三菱化学、シンガポールのSM向けベンゼンの調達が最終段階に
来年後半からSM引き取り量が38万トンに拡大
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:BASF、JSR、旭化成、テクノポリマー、三菱化学、エクソンモービル、三菱化学フォームプラスティック

 三菱化学は、SM(スチレンモノマー)事業における当面の課題として、来年下期以降、シンガポールにおける引き取り量の拡大に対応して原料ベンゼンの調達先確保に取り組んでおり、最終的な調整を進めている。
 同社は、1997年4月からシェルとの合弁により、シンガポール・ジュロン島のセラヤ地区におけるPO(プロピレンオキサイド)/SM合弁会社セラヤ・ケミカルズでSMの生産を開始、出資比率(30%)に応じてSMを引き取っていた。シェルはさらにセラヤにおける第2期計画として、BASFとの合弁会社BASELLイースタンを設立、現在PO年産25万トン/SM同55万トン設備の建設を進めている。その後三菱化学はセラヤ・ケミカルズの保有株式をシェルに売却するとともに、SMの引き取り権(キャパシティー・ライト)契約を締結、既存の引き取り量10万トンから、1期、2期合計で38万トンに拡大することになった。これにともない三菱化学は38万トンに相当する1期・2期の建設費を預託することになっている。
 2期の稼動する来年下期以降にスタートする28万トン分のSMの原料は、三菱化学が持ち込むことになっており、エチレンについてはシンガポールのエクソンモービルから調達することが決まっている。一方の原料であるベンゼンもほぼ調達のめどは立っているものの、現在同社のシンガポールにおける子会社のユカセラヤが最終的な調整を進めている。
 三菱化学は昨年11月に四日市のSM設備を停止して鹿島に集約、その鹿島で6万トンの増強を実施しており、鹿島の39万トンで旭化成とのPS(ポリスチレン)合弁会社エー・アンド・エム スチレンやJSRとのABS樹脂合弁会社テクノポリマー、EPS(発泡ポリスチレン)を手がける三菱化学フォームプラスティック向けを中心に供給する体制を構築している。このためシンガポールで引き取るSMは、奇美実業の台湾および中国の拠点向けやタイのPS子会社HMTポリスチレン向けに供給する計画で、内-内、外-外の戦略を明確にし、SM事業の競争力を強化して行く考え。