2000年07月07日
通産省報告「石化産業は競争力強化に全力を」
生産性、コストに問題、収益力に格差歴然
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:BASF

 通産省基礎産業局は7日、「石油化学産業競争力問題懇談会」で行った議論をまとめ、公表した。石化各社は1999年、過去最高のエチレン生産量を記録したが、欧米メーカーとの収益力格差は依然大きいとし、内外ビジネス環境の変化や対応策、今後の取り組み、基本戦略などについて、要旨次の点を指摘している。

[日本の石化産業の現状]
(1)わが国石化産業は1999年、過去最高の生産量を記録、現在も高水準の生産を維持している。内需もIT関連を中心に増加基調にあり、収益もリストラ等の効果により改善が見られる。
(2)しかし、欧米の主要企業と比較すると歴然とした格差が存在、企業会計制度の変更に伴う退職給付債務の償却負担増の影響により、最終利益段階では依然低水準にとどまっている。

[日本の石化産業を取り巻く内外ビジネス環境の変化]
(1)アジア地域では経済回復を背景に石化製品の需要超過幅拡大が予想されている。しかし中国以外は供給過剰状態にあること、中東では供給能力が大幅に増加し、アジア地域への流入が増えること、また経済危機により中止、延期されていたプロジェクトの再開が予想されること、などから今後アジア市場で競争が激化するのは必至である。
(2)欧米ではDOWとUCC、SHELLとBASFに見られるように、単独でも高収益をあげている企業同士が一層の競争力強化を目指してビッグアライアンスに取り組んでいる。
(3)ユーザーの間では既存の取り引きにとらわれず、安い調達先をグローバルに模索する動きが急速に進展、最近のIT革命がさらにこれを加速させている。
(4)廃棄物処理、リサイクル、化学物質管理、地球温暖化防止など、環境問題への国民の関心の高まりから、これらに配慮した製品への指向が強くなり、製品開発に向けた投資の拡大が求められている。
(5)電子商取引に急速な進展が見受けられ、とくに米国では電子商取引の市場規模が1998年の約20兆円から2003年には約165兆円に拡大し、この間に化学品の電子商取引比率も1%程度から30%近くに達すると予想されている。日本においても商社をはじめ電子商取引を加速する動きが見受けられる。
(6)石化製品の関税率はウルグアイラウンドにおける関税ハーモナイゼーション合意に基づき、1995年以降段階的引き下げが実施されている。ポリエチレン、ポリプロピレンなどの汎用樹脂の関税率は2004年には6.5%へと大幅低下する予定であり、輸入品との競争激化が予想される。

http://www.c-nt.co.jp/data/finance/World1998.html">世界の主要化学企業の財務状況