2002年02月22日
真空蒸着不要の高機能フィルム、PDP用などに利用へ
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:ブリヂストン

 LCD(液晶ディスプレー)やPDP(プラズマディスプレー)カーナビゲーションシステムなどの画面に装着する新しい高機能フィルムの生産が活発化している。
 
 さきにブリヂストンのPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルム上に数マイクロ(マイクロは百万分の1)メートルの高機薄膜を塗工して反射防止、導電性、色調整、粘度、硬度といった機能を持たせる技術を紹介したが、住友大阪セメントでは、複数のセラミックの超微粒子をプラスチックパネルやフィルムにコーティングして同じような機能を付与することに成功、ことしの夏から生産を開始する。
 
 ガラスやプラスチック板、フィルムの表面に反射防止などの機能を持たせる素材の加工は、現在、真空蒸着法で行われているが、住友大阪セメントではこの方法に比べて生産コストが3分の1ていど削減できるとしている。
 
 ブリヂストンでも同社の塗工法が蒸着法に比べて大幅に安くなるとしており、これら新技術がディスプレー業界の注目を集めている。
 
 住友大阪セメントの技術は超微粒セラミックスの製造と、これを薄膜プラスチックフィルムにコーティングする方法、プラスチックやガラスパネルにコーティングする方法の3つから成っている。超微粒セラミックスの生産は自社で行うが、プラスチックやガラスパネルにコーティングする工程は外注する。
 
 すでにアクリル板に反射防止膜などをコーティングしている加工会社の場合、LCD加工メーカーなどにサンプル出荷しているが、セラミックスの溶液にプラスチックパネルを漬け込み、セラミックスを付着させて(ディッピング法)形成する。
 
 セラミックスは粒子の径が10~30ナノ((1ナノは10億分の1)メートルで乾燥すると透明な薄膜になる。反射防止膜は反射率が最大で0.1~0.2と低く、表面硬度は「4H」と高い。