2000年06月22日
大手4商社が米ケムコネクトと合弁で化学品電子商取引市場を創設
2社を設立/日本・アジア市場の商慣行にあわせたサービスも提供
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友商事、丸紅、三井物産、三菱商事

 住友商事、三井物産、三菱商事、丸紅の国内大手4商社は22日、米国の大手化学品電子商取引市場会社であるケムコネクトと、インターネットを利用する化学品電子商取引市場を運営する合弁会社2社を日本に共同で設立することで基本合意した、と発表した。
 設立する2社のうち1社は、「ケミカルモール・アジアパシフィック株式会社」で、資本金約10億円、社長は三井物産から派遣する予定。もう1社は「ケムコネクト・ジャパン株式会社」で、社長はケムコネクトから派遣する。両新会社は7月にも設立、順次サイトを立ち上げていく予定で、ケムコネクトの現行サービスに加え、相互協力のもと同一サイト上でサービスを展開する。
 これら4商社は、すでに米国でケムコネクト社に出資しており、同社の化学品eコマースの運営ノウハウと総合商社のリアルビジネスの経験・実績・専門知識を融合し、日本・アジア地域の商慣行に焦点を当てたサービスを展開する合弁会社を設立することにしたもの。
 新会社は化学品全般をカバーし、日本・アジアを対象とするローカルサービスに加え、ケムコネクトのグローバルサービスもシームレスに提供する、いわば“GLOCAL”なサービスの展開を目指しており、顧客に幅広い機能と利便性の提供を目指している。化学品はグローバルに取引される国際商品も多いものの、地域の商慣行に基づく日本・アジア域内の物流が大半を占めている。新会社は、この日本・アジアの商慣行や取引形態に焦点をあてた使い勝手の良いeコマースサービスの開発に主眼を置いている。
 合弁会社2社は、具体的なサービスとして、日本国内・アジア市場における取引機会の拡大、受発注業務の合理化提案などから提供を開始し、順次顧客ニーズを受けて機能向上を図る方針。日本・アジアの化学品市場は40~60兆円と言われ、世界の化学品市場の30%程度を占めている。新会社2社はこの市場において電子商取引のリーディングカンパニーとして、3年後には2,500億円規模の取扱いを目指しており、将来は化学業界の共通eコマースインフラとなることを期待している。
 具体的なサービス内容については、すでにケムコネクトが提供しているグローバルな2つのサービスに加え、日本・アジア向けにはさらに3機能を追加、市場動向に合わせて順次機能の向上を図る考えで、下記のような機能を提供する。
(1)グローバルな取引機会を提供するサービス
 [1]World Chemical Exchange(WCE)
 エクスチェンジ型のビジネスモデルを使用し、世界4000社以上のメンバー会社を対象に、売買商品を掲示し最適な取引相手を見つける場を提供する。
 [2]Corporate Trading Room(CTR)
 オークション型のビジネスモデルを使い、メンバー会社自らが主催者となって、特定商品の販売や購買のためのフェアーをインターネット上で開催するもの。
(2)日本・アジア地域に焦点をあてた、取引機会の拡大や受発注の合理化を提案する為に新会社が提供するサービス
 [3]Japan Chemical Exchange(JCE)
 上記k[1]の日本語版。日本の化学業界に、日本語環境によるWCEへの入口を提供するとともに、日本国内のスポット的取引に焦点をあて、取引機会と取引相手の拡大を目指す。WCEを日本語環境に変更するだけでなく、日本の取引慣行に合わせて修正する予定。
 [4]Corporate Mall(C-Mall)
 インターネット上に会社別取引サイトを創設し、それぞれの出店会社に販売や購買業務の場を提供するもの。eコマースのの本質である「取引機会の拡大」を担保するのは会員数や利用者数であり、この点で個々の会社が立ち上げるよりも利便性が高く、又、コスト面でも有利になることを狙っている。
 更に、この会社別取引所上で成立した受発注データをEDI機能によって直接個々の出店会社のコンピューターに伝送することにより、重複インプット業務の回避や誤発注の防止、更には受発注全般に関する合理化・コスト削減を提案する。
 [5]Product Mall(P-Mall)
 インターネット上に商品別取引サイトを創設し、主にアジア域内のトレーディングでの利用を期待するもの。商品毎に個別の取引所を設け、一定の参加資格を設定することで商品プロフェッショナル同士の取引の場として活用していこうというもの。又、夫々の商品特性やアジアの取引慣行を折り込んで、使い勝手の良いeコマースを目指す。

<資料>合弁会社サイトのイメージ図
http://c-nt.co.jp/news/ec.jpg>