2000年06月22日
三井化学、日米でNF3を増強~来年1Qに生産能力を3倍に拡大
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:三井化学

 三井化学は22日、下関工場と米国の100%子会社であるAnderson Development Company(ADC)において、NF3(三ふっ化窒素)の生産能力を同時に増強することを決定した、と発表した。増強する設備は、2001年第1四半期の営業運転入りを予定している。
 今回の増強計画は、今年2月に増強を実施したADC、および7月に増強予定の下関工場の計画に続くもので、2001年第1四半期の完成によりグループ生産能力は現在の約3倍に拡大する。また三井化学は、需要に応じた安定供給体制を強化するため、短期間で増設可能な独自プロセスの利点を生かし、さらなる増強計画の策定を進めている。
 NF3は、半導体や液晶パネルの製造工程で用いられるクリーニングガスとして市場を拡大してきた。昨年来、半導体市場の景気が急速に回復してきたこと、液晶市場が大型パネルを中心に大きく成長したこと、さらに最先端の半導体設備にNF3が積極的に導入されたことなどから、世界的に需給がタイトな状態となっている。
 三井化学は、1990年に電解1段法でNF3の工業化に成功、下関工場内に設備を建設して、生産能力の増強を進めてきた。電解1段法は、これまでのF2(ふっ素ガス)を用いる2段合成法に比べ、設備がコンパクトで建設期間が短いという特長を有している。さらに半導体の配線が微細化するのにともなって、今後需要が増大すると見られている高純度品(5N=99.999%)の製造に適した競争力のある製造プロセスと言われている。一方米国では、1997年からACD社で製造を開始しており、現在は下関工場の製品と同一の品質であることがユーザーに認められており、半導体材料ガス分野においては初めて日米2拠点による安定供給体制を構築している。
 三井化学は、半導体ガス事業をコアビジネスに位置付けており、NF3のほか、シラン、ジシラン、四ふっ化珪素、ゲルマン、メチルシラン、四ふっ化ゲルマニウム、ジフロロシランなどの高純度ガスや排ガスを分解する除害剤を手がけており、半導体分野で広範な製品を供給している。