2000年06月22日
VEC首脳会見、「塩ビ手袋、問題ないと確信」
「新しい規格基準ができれば全体できちんと対応」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:信越化学工業、東ソー、トクヤマ

 VEC(塩化ビニル工業・環境協会)の田代圓会長(東ソー社長)と、武田正利(鐘淵化学工業社長)、三浦勇一(トクヤマ社長)、市村浩信(信越化学工業常務)の3副会長は22日記者会見し、当面の諸問題について、それぞれ考えや抱負を語った。この中で、厚生省が14日に行った「DEHP含有塩ビ手袋の食品への使用自粛通知」については、「DEHPの安全性に問題があるとは思わないが、これから食品衛生調査会が規格基準の改正を検討していく計画なので、新しい基準ができれば関係業界全体できちんと遵守していきたい」との見解を明らかにした。
 会見要旨次の通り。
 
1)厚生省はDEHP含有塩ビ手袋の食品への使用を避けるよう関係筋に通知したが、DEHPについては、これまでの内外の多くの実験結果では人体へのエンドクリン作用や発ガン性が認められたという報告はない。また、今回の厚生科学研究グループによる検出数値、すなわち市販弁当1食分からの検出量(322~4,306μg)についても、DEHPのTDI(耐容1日当たり摂取量=40~140μg/kg/日=体重50kgの人で2,000~7,000μg/日)との比較から問題ないと判断している。ちなみに、今回の厚生省の措置はDEHP含有塩ビ手袋を危険とみなして使用を禁止するというものではなく、緊急の手段として使用を自粛するよう通知したものだ。そして、今後は食品衛生調査会で規格基準の改正を検討していく意向を表明しているので、私たちはそれを見守り、新しい基準が作られればきちんとそれを関係業界全体で守っていくということに尽きる。

2)今回のDEHP検出問題は、可塑剤メーカー、加工メーカー、樹脂メーカーのいずれの業界にも係わりを持つ問題なので、関係業界間の連携をとりながら対応していくことも大事だ。さらに安全性に関する知見を集め、安心して使ってもらえるようにしていきたい。

3)塩ビの需給動向では、5月にモノマーの生産が落ち込んだ点が注目されているが、これは一部でプラントの定修や停止があったためだ。一方、樹脂の需要は国内がもう少し伸びてほしいとは思う。アジアの需要は今がピークとの見方も出ている。それに、ナフサ価格がどうなるかも不透明だ。いまの段階では予想がつかないことが多い。したがって、塩ビメーカーとしてはさらなる合理化によるコストの引き下げに合わせ、適正価格の確保が一段と重要となる。