2000年06月21日 |
BASF、今後日本で樹脂事業を積極展開~コア標準品に注力 |
2005年に汎用樹脂で5%/エンプラで10%のシェア目指す |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:BASF |
BASFは、今後日本における樹脂事業を積極的に展開していく方針だ。具体的な目標として、2005年にPS(ポリスチレン)やABS樹脂などの汎用品で5%、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、ナイロン樹脂、POM(ポリアセタール)などのエンジニアリングプラスチックで10%、競合メーカーの少ないPES(ポリエーテルサルフォン)やPSU(ポリサルフォン)では、30%の国内シェア獲得を掲げている。 BASFジャパンのポリマー本部長であるDr.ラルフ・ゾンベルガー常務は、BASFのグローバル戦略のポイントとして、(1)世界規模のプラント建設、(2)コア標準製品に照準、(3)生産からエネルギー、ロジスティクス、ノウハウ、ユーザーを含めたフェアブント(ドイツ語で統合、ネットワークの意)のさらなる強化、(4)強いパートナーとの戦略的統合の4点を挙げたあと、日本を含むアジア太平洋地域のビジョンや目標、日本における樹脂事業の展開などについて語った。 アジア太平洋地域においてBASFは、2010年までにグループ全体の売上高および収益に占める同地域割合を20%に拡大する、また同地域全体の売上高の70%を域内生産拠点の製品で稼ぎ出すという目標を掲げている。同社はアジア太平洋地域において、韓国(PS、ABS樹脂)、中国(PS)、マレーシア(エンプラコンパウンド)などの生産拠点を有し、グループ全体の売上高に占める同地域の割合は、1998年で9%、1999年は13%に拡大している。今後、中国およびマレーシアにおける石化コンプレックス計画の完成により、上に掲げた目標の達成は充分可能であるとしている。 また、ゾンベルガー常務は、日本のプラスチック業界が直面している課題として、(1)オーバーキャパシティーであること、(2)世界の標準に比べ設備が古く、生産規模が小さいこと、(3)カスタマー製品が多く、製品のポートフォリオが多様化しすぎていること、(4)配送費が割高なことなどを挙げ、国内メーカー各社がリストラに取り組んでいる現状を語った後、(BASFジャパンは)1998年からエンプラの平均出荷サイズの増量に取り組んだ結果、1件当たりの出荷サイズが平均で400キログラムから1トンに拡大、配送費の削減を実現したこと、昨年10月以降エンプラでディストリビューターシステムを導入し、小口顧客の対応をディストリビューターに任せるようにしたこと、1998年から2001年にかけてエンプラの製品ポートフォリオの標準化に取り組み、グレード数の半減を目指していることなど、日本におけるリストラの取り組みを紹介した。 また日本での販売拡大が期待できる用途としては、すでに一部で採用されている自動車のエアインテークマニホールド(ナイロン6樹脂)に続き、イグニッションコイルをモジュール化したロッカーカバー、将来はフロントモジュールやボディパネルなどに期待している。またすでに販売しているナイロン6および66樹脂のノンハロ・ノンりんグレードが有望なほか、PBTでもノンハロ・ノンりんグレードの開発を進めている。さらに今後もアジアの生産拠点と日本のテクニカルセンターの連携により、2005年における汎用樹脂、エンプラなどのシェア目標の達成を確信している。 このほか、ゾンベルガー常務は、「(国内メーカーとのアライアンスについて)BASFはいつでもオープンである。これまでの日本の樹脂メーカー同士によるアライアンスが再編の第1段階とすれば、第2段階はBASFのような外資とのアライアンスになるだろう」と語った。 <写真>樹脂事業戦略を説明するBASFジャパンポリマー本部首脳 http://c-nt.co.jp/news/basf_japan.jpg> (左からラルフ・ゾンベルガー本部長、前田昌宏市場開発グループゼネラルマネージャー、マンフレッド・パヴロフスキー カスタマーサービス&プロダクトマネジメントゼネラルマネージャー、山本修熱可塑性樹脂・繊維・営業T.S.グループ熱可塑性樹脂営業・T.S.担当マネージャー) |