2000年06月16日 |
住友ダウ、シリコーン系難燃性PCが好調~ドイツ・米国でも生産へ |
今後テレビの前面パネルへ向けなどへ展開を検討 |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:NEC、住友ダウ |
住友ダウが、展開しているシリコーン系難燃性PC(ポリカーボネート)「カリバー870シリーズ」が順調に販売を拡大している。また、ダウグループとして、ドイツおよび米国での生産も準備を進めているが、すでに最終段階を迎えており、タイミングを見て生産を開始する方針だ。また従来のパソコン関連用途に加え、今後は民生用テレビの前面パネルなどへの展開を検討している。 870シリーズは、難燃剤にシリコーン系化合物を用いている。臭素(ブロム)系や塩素系難燃剤を含まなず、また難燃性は米国ULの難燃規格で上から2番目となるV-0をクリア、燃焼時にもガスが発生しないほか、金型汚染や成形機の腐食がない。さらに数回の再利用に耐えることができ、リサイクル性にも優れている。シリコーン系難燃剤の基本技術はNECの資源環境技術研究所が開発したもので、その後住友ダウが開発に協力、量産化と低コスト化を実現した。 NECは「エコポリカ」の商標でグループの液晶ディスプレイのハウジングやノートパソコンのバッテリーケースなど、徐々に採用を拡大している。住友ダウでは、年初に870シリーズで年間2,000トンの販売目標を立て、このうち約半分に当たる1,000トンがNEC向けの供給になると見ていたが、NEC向けの供給が順調に拡大しているため、NEC向けは1,000トンを大幅に超え、さらにトータルでも2,000トンの販売は確実と見ている。 また、ドイツおよび米国で870シリーズを生産するための準備も進めてきたが、現在はUL規格の取得作業中で、最終段階を迎えている。後は生産を開始するタイミングの問題となっており、近い将来、特に環境問題への関心の高いドイツから生産を開始する見通し。 なお住友ダウは、これまでのパソコン関連用途に続く新規分野として、テレビの前面パネルなどへの展開を検討している。前面パネルには、PS(ポリスチレン)などの樹脂が多く用いられているが、より強度のあるPCの採用も始まっている。シリコーン系難燃性PCが採用されれば、強度に加え、リサイクル性など環境対応としての価値が付加されることになり、870シリーズの拡販につながるものとして期待している。 |