2000年06月09日
ANの輸出入構造に変化、大幅な輸出超過の状況続く
国内需給逼迫の、一つの要因との見方も
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:旭化成

 AN(アクリロニトリル)の全世界的な需給タイト状況が続いているが、業界筋では昨年から続く日本の輸入構造に変化が、今回の需給逼迫に拍車をかける一つの要因となったとの見方がされている。
 ANは、日本から輸出がされる一方で、大手ファイバーメーカーを中心に海外から輸入により玉手配を行い、1998年までは輸入超過となっていた。しかし、1999年になりそれまで取引のあったスポット小口取引などが減少、現在は米国・BPケミカルおよび韓国の泰光産業が2大サプライヤーとなっている。
 大蔵省の通関統計によると、1995年の輸出量は年間8万8,766トン、輸入量は12万9,593トンであったが、1998年にはそれぞれ10万5,356トン、13万3,378トンと拡大すると同時に、輸入超過の状況が続いている。
 しかし、1999年は輸出量が18万6,359トンと大きく増加する一方で、輸入量は10万5,861トンに減少しており、初めて輸出が輸入と逆転している。輸入量の拡大については旭化成など設備増設を行うなどアジアへの供給体制構築を進めているためと見られている。一方で輸入量の減少は、一部ファイバーメーカーが自消率を高めていることが大きな要因とされている。
 業界筋では、昨年後半から全世界的に相次いだ設備トラブルを発端とし、現在の需給ショート状況になったとしているが、とくに日本国内の需給ショートはこうした輸入チャンネルの減少によるものが大きいとの見方もされている。

<参考>
http://c-nt.co.jp/news/anei.gif>