2000年06月08日
出光石化、家電リサイクルを視野に入れたSPS/PSアロイを発売
優れた耐薬品性でABS樹脂代替目指す/販売目標は年間1万トン
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:なし

 出光石油化学は8日、同社が1997年春以来販売を行っているSPS(シンジオタクチックポリスチレン)に最新の分子制御技術を適用することにより、耐薬品性を向上させた非晶性アロイグレード「ザレックE101」を開発、上市した、と発表した。これまでエンプラのイメージを強調した売り方をしてきたが、今回のアロイグレードの上市により、汎用分野にも展開、2つの顔を持つ樹脂として事業の拡大を目指す。
 ザレックE101は、PS(ポリスチレン)とのアロイであり、PS、ABS樹脂、AS樹脂など既存のスチレン系樹脂用に使用している射出金型を修正せずに成形することが可能なうえ、耐溶剤性に優れている。また家電部品にはPS、ABS樹脂、AS樹脂などが混在した形で使われているが、今回上市したE101を使うことで、全ての材料をPS系材料に統一することが可能となり、家電リサイクルなどの問題への対応が容易となる。
 従来のSPS/PSアロイは、シンジオタクチック構造の高分子(SPS)とアタクチック構造の高分子(SPS)が海島構造のため、膨潤・クラックに対する耐性はなかったが、E101は特殊な分子制御技術により、溶剤が接触するとその表面で分子流動が始まり、分子流動状態で微結晶化、結晶同士の分子間力・高分子の絡まりによりネットワーク構造を構築することで、耐薬品性を発揮する。
 同社では、これらの特徴を活かし、エアコンや冷蔵庫、換気扇などの家電部品のほか、化粧品や洗剤などに接触する日用品や洗面化粧台、浴室用品、油などに接触するOA機器や工作機械などのハウジング、油脂性食品の包装容器など、広範な用途に販売していく考え。
 同社では、当面年間1万トン程度の販売を見込んでいるが、競合する耐薬ABS樹脂に近い価格水準を目指していることからキログラム当たり250円で、25億円規模の売り上げを目指す。さらに近い将来には、今回のEシリーズに続き、ガラス繊維強化タイプのGシリーズを上市する考えで、あわせて2万トンの販売を見込んでいる。
 なお供給面では、1996年秋から稼働している千葉の年産5,000トン設備に加え、共同で事業展開しているダウが、今春から旧東ドイツで3万6,000トン設備を稼働させている。出光石化は、2003~2004年をめどにコンパウンドベースで4万トンの販売を目標としており、その頃には出光石化としての増設計画が決定する見通し。

<参考>汎用樹脂分野とエンプラ分野に2面展開していくザレック
http://c-nt.co.jp/news/xarec.jpg>
(上から今回発表したEシリーズ、ガラス繊維強化グレードのGシリーズ、エンプラとして展開しているCシリーズ)