2000年06月07日
旭化成、サーモフィル社取得を機にコンパウンド事業を強化
グローバル化推進/タイでは年末めどに5,000トン増強
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:旭化成、新日鐵化学

 旭化成工業は、4月末に新日鐵化学の樹脂コンパウンド持株会社の株式取得を決定、今月末にも作業を完了するが、これにともないコンパウンド事業のグローバル化を推進していく考えだ。また昨年日本ピグメントから事業を買収して設立したAPT(旭化成プラスティックス(タイランド))は、需要の増加に対応して設備の増強を実施する。
 旭化成は、新日鐵化学の事業持株会社である米NSCAA社(NIPPON STEEL CHEMICAL OF AMERICA)、英NS&N社(NS&N(UK)LTD.)の株式を取得することにより、それぞれの全額出資子会社で、樹脂コンパウンドを手がけるサーモフィル・ポリマーズ(UK)のほか、サーモフィル・ポリマーズ(フランス)および同社の子会社であるサーモフィル・ポリマーズ(イタリア)の3社を傘下に収めることになる。これら3社は、PP(ポリプロピレン)など汎用樹脂のコンパウンドを主力としているが、一部ナイロン樹脂のコンパウンドも手がけており、今後は徐々にエンプラコンパウンドの生産も手がけていく方針。
 今回の買収について、機能樹脂・コンパウンド事業部門長の荒浪淳専務は、「以前から欧米でエンプラコンパウンド事業を展開して行きたいと思っていた。ただエンプラコンパウンドを生産するには、最低1万トン、できれば2万トン程度の需要が必要だが、欧米で最初からこれだけの販売を行うことは難しい。このためサーモフィル社を手に入れることで、汎用樹脂のコンパウンド事業を運営しながら、エンプラコンパウンドの拡販を進めることができると判断した」と語っている。
 一方タイでは、昨年日本ピグメントの子会社日本ピグメント バンコクを買収、同年4月からAPTとして営業を開始した。現在同社は、年産1万5,000トンの生産能力を有し、PSやABS樹脂、PPのコンパウンドを約1万トン、変性PPEやナイロン66樹脂などエンプラコンパウンドを5,000トン程度生産している。アジア経済の回復にともない、引き合いが増えており、スタート当初から単月ベースで黒字を計上、設備も振る稼動となっている。こうしたことから年末をめどに押出機2台を導入、生産能力を2万トンに引き上げる。なお同社は合弁会社や生産委託などにより、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピンでエンプラコンパウンドを生産している。
 さらに機能樹脂・コンパウンド事業部門は、米国米のコンパウンド事業強化のため、デトロイト事務所の人員を強化するとともに、市場調査や顧客対応を兼ねてサンディエゴにも事務所を設置する。また今後は旭化成本体が日系ユーザー、サーモフィル社がローカルを中心に対応することになる。現在自動車分野では、米国のビッグ3が定めた品質保証規格QS-9000の取得が必須となっており、旭化成も取得の準備を進めているが、サーモフィルはすでに取得している。