2000年06月06日
旭化成、シンガポールで変性PPE2万トン設備新設
2002年夏にも原料からの一貫体制構築
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:旭化成、新日鐵化学

 旭化成工業はこのほど、シンガポールで原料からの一貫による変性PPE(ポリフェニレンエーテル)生産拠点を構築する方針を固めた。需要が好調な海外向けに対応するためで、近く正式決定し、早ければ2002年夏にも変性PPE年産2万トン設備(パウダー能力)が完成する見通しだ。
 同社は現在、千葉にパウダー設備として年産1万5,000トン、コンパウンドベースで3万5,000トンの生産設備を有している。昨年末にコンパウンドベースで5,000トンの増強を実施したばかりだが、すでにフル稼動となっており、以前から日本およびアジア地域で増強を検討してきた。
 建設地はシンガポール・ジュロン島のサクラ地区で、年産2万トン規模の原料2,6キシレノールおよびパウダー能力で年産2万トンの変性PPE設備を建設する。近く正式決定する予定だが、順調に行けば2002年夏にも完成し、同年秋頃に稼動する。また原料の2,6キシレノールは、日本では新日鐵化学との合弁会社日本クレノールとして、川崎にオルソクレゾールとの併産で年産2万7,000トン(2,6キシレノール1万9,000トン、オルソクレゾール8,000トン)の設備を有し運営しているが、今回は2,6キシレノールのみを生産、旭化成単独で運営する方針。
 シンガポールの設備は全量コンパウンドベースで換算すると、4万6,000トン規模になるが、最近はPP(ポリプロピレン)やPS(ポリスチレン)の改質剤としての用途も増えていることから、一部はパウダーとして販売する考え。また当初は、シンガポールの設備を優先するため、千葉の設備の稼動を落とすことなどにより調整する方針。
 なお同社は、サクラ地区に11ヘクタールの用地を確保しており、今回の新設計画を実施しても、中断しているポリアセタール(POM)計画や将来のナイロン66樹脂計画などの用地は充分にあるとしている。