2000年06月02日
旭化成、印刷レス導光板で量産技術を開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:旭化成

 旭化成工業は31日、モニターなどの液晶画面に使用されるアクリル樹脂製導光板について、後加工(パターン印刷)を省略する、画期的な射出成形技術を確立した、と発表した。
 導光板は、パソコンやモニターなどの液晶画面に使われるアクリル樹脂成形品で、画面を背面から発光させる機能を持つ。画面の輝度をムラなく高めるには、導光板の表面に数マイクロメートルから数十マイクロメートルの微細パターンを加工する必要があるが、従来の射出成形技術では金型表面の微細部分に樹脂が充分に入り込まず、細かなパターンの忠実な転写が困難となっていた。このため導光板の製造においては、アクリル樹脂を成形した後に、表面に光を反射させるパターンを印刷する工程が必要で、コスト上の課題となっていた。 今回同社が開発した技術は、導光板の製造過程において、金型からアクリル樹脂への転写性を大きく向上させるもので、従来必要とされていたパターン印刷が不要な印刷レス導光板を製造できるようになる。また(1)金型表面状態を忠実に転写できるため、最適なパターン設計が容易、(2)金型の種類(直彫り、電鋳、スタンパ)を問わない、(3)従来、技術的に困難とされていた15インチ以上の大画面用途にも適用可能など、導光板業界のニーズを先取りした技術であることが実証され、実用化にこぎつけたもの。
 同社は、導光板用途のアクリル樹脂の販売では国内および世界でもトップシェアを有している。今回印刷レス導光板の量産技術を確立したが、すでにバックライト業界最大手の油化電子社の採用も決定、今後は印刷レス方式が主流になると見ている。今後は国内外のモルダーに対し、新技術をライセンスすることで、幅広く展開していくとともに、アクリル樹脂の拡販にもつなげていく方針。