2000年05月31日
日本触媒、スイスSH社向けに燃料電池材料を事業化
数年後めどにジルコニアシートで20億円の販売目指す
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:日本触媒

 日本触媒は31日、スイスのSULZER-HEXIS社(SH社)が開発中の家庭用固体電解質型燃料電池(SOFCタイプ:Solid Oxcide Fuel Cell)向けに、今回発電材料となるジルコニアセラミックシートの開発と量産化技術の確立に成功、2001年にSH社が製品の販売を開始するのにあわせて、今年4月から供給を開始した、と発表した。数年前から両社で共同開発を進めていたもので、数年後をめどに20億円規模の販売を目指す。
 SH社は、スイスSULZER社の燃料電池システム開発会社で、2001年から家庭用燃料電池の販売開始を予定しており、日本触媒の製品がこの燃料電池に採用される。SH社の家庭用小型燃料電池は、SOFCタイプとして世界初の製品となる。都市ガス(天然ガス)を燃料とする暖房・給湯用ボイラー兼発電機、家庭用コージェネレーションシステムで非常にコンパクトな設計ながら1kWの出力を有している。SH社では、当初ドイツで販売をスタートした後、年間100万台以上の需要があると見られる欧州市場で拡販する考え。
 日本触媒がSH向けに供給するのは、発電システムの心臓部となる固体電解質で、非常に薄く、強度のあるジルコニアのセラミックシート。一般的にこうした薄くて面積の広いセラミックシートの量産化は困難とされてきたが、独自の原料と粉体加工技術に加え、生産性の高いセラミック焼成技術を組み合わせることで、量産化を可能にした。
 日本触媒は企業理念として「テクノアメニティー」を掲げ、これまで環境関連材料・システムの開発・事業化に積極的に取り組んできた。SOFC用の電解質もこの一環として開発してきたもので、燃料電池システムの開発企業や研究機関に試作品の提供などを継続してきている。今回の製品開発はその一つの成果であり、上市を機にジルコニアシートの拡販、またこれに続く新規燃料電池材料の開発、市場投入など、事業化を加速させる方針で、4月から新たに事業化専門の部署として「燃料電池材料事業化グループ」を新設、数年後にはジルコニアシートで年間20億円の販売を目指す。また同社は、燃料電池以外にも、二次電池などの電池材料の開発にも取り組んでいる。