2000年05月26日
「APIC2000」各国代表スピーチ
拡がるアジア市場「相互信頼」強調する声
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:石油化学工業協会

 26日開かれた「アジア石油化学工業会議(APIC)2000」は、幸田石油化学工業協会会長に続いて、台湾、韓国をはじめ6カ国の幹事国代表が各国の石油化学の現状について報告した。
 この中で台湾の陳武雄代表は、「今回から幅広い国の人たちの参加が得られるようになってうれしい」と述べたあと、「アジアの経済は昨年、ようやく回復した。これから2003年頃まで石化業界は再び繁栄を迎えるという報告もある。麦寮では第6クラッカーが完成したが、第7、第8クラッカー計画も進んでいる」と、さらに成長を続ける見通しである点を強調する発言を行った。
 韓国の成在甲代表も、「昨年は、韓国経済が10.9%の成長を見せた」と前置きして、「2000年も石化は7~8%の伸長は固いのではないか」と量的には明るい見通しを持っていることを示した。しかし、「原油価格の高騰やウォン高など経済的には楽観を許されない要素もなお根強い」と、前途を厳しく見ていることを強調していた。
 シンガポールのMr.Ooi Chwee Kim代表は、初めての参加だったこともあってか、APICの開催と、同国の代表として参加できたことに謝意を示し、「これだけの規模の石化会議がアジア地域で開かれたことはすばらしい。EPCAやAPECと並ぶ大会として、世界に存在感を示すことは良いことだ」と述べた。そして、「今後は各国の経験を生かし、相互の利益にしたい」と結んだ。
 タイのMs.Khunying Thongtip Ratanarat代表は、「1999年はタイにとって、経済危機から立ち直る分水嶺の年になった。この厳しい経験を乗り越えたことで、石化は新しい次の時代を迎えようとしている」と語った後、「石化は規模の拡大を求めるだけでなく、製品の特化や高度技術を取り入れていく必要がある。これからは貿易が拡大し、情報も進んで、電子商取引の時代に入る。それだけに各国との友好関係を一層深めていくことが大切だ」と強調した。
 またマレーシアのMr.Mahamad Mahamut代表は、「新しいミレニアムの時代にこのような大会が開催された意義は大きい」と前置きして、「アジア各国は、先の経済危機で教訓を得た。これを乗り越えたことで明るい未来が開かれつつある」と述べたあと、「しかし、グローバル化が進む中、まだ困難はある」と、特に日本の政府や石化業界に対し関税の調和や設備投資、ジョイントベンチャーによる企業進出などを強く求める発言を行った。「日本はアジア最大の先進国であり、アジア経済の発展に果たす日本の役割は大きい」と強調して報告を締めくくった。
 会議はこの後、新しいプログラムとして用意されたキーノートスピーチに入った