2000年05月22日
BASF、製紙用化学品の成長目指し2004年までに5億ユーロ投資
フィンランドで新設備建設/プロセス技術革新でコスト低減
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:BASF

 独BASFは、製紙用化学品で2004年までに5億2,000万ユーロを投入する包括的な投資プログラムを実施、同事業を強化する、と発表した。このうち1億3,000万ユーロは研究開発費、残る3億9,000万ユーロは欧州、NAFTA、アジア、アフリカなどの地域における設備の新増設に充当する方針。
 同社の欧州地域製紙化学品事業の責任者であるW.ザウア氏は、「プロセス技術の革新により、より安価な生産コストを実現、収益を継続的に改善することを目指す。また製紙用化学品市場に、新製品や革新的な製品を投入することで、北欧、NAFTA、アジア各地区において事業を拡大する意向である」と語った。
 BASFの製紙用化学品事業の1999年売上高は7億ユーロで、内訳は欧州が約60%、NAFTAが23%、アジアが14%となっている。また売上の大部分は、紙コーティング剤が占めている。
 BASFは現在、ドイツのルートヴィッヒスハーフェンで年産21万トンの紙コーティング用ディスパージョン設備の建設を進めており、年内の稼動を目指している。新設備の稼動と同時に、既存設備の操業を中止する予定。またコスト最適化策の一つとして、オランダ・アーンハイムの設備では、従来生産していたスチレン・ブタジエン・ディスパージョンから、特殊品の生産に切り替えることを検討している。さらに同社は、フィンランドのハミナでも新規紙コーティング用ディスパージョン年産14万トン設備の建設を計画しており、2002年の操業開始を予定している。この結果、欧州地域では、ドイツの新設備が中央ヨーロッパ市場、オランダの設備が特殊品、フィンランドが北ヨーロッパ市場に供給する。
 また同社は、ポリビニールアミン(PVAm)および出発原料であるビニール・ホルムアミド・モノマー(VFA)の2つを重要製品に位置付けている。これらの量産化技術は、ルートヴィッヒスハーフェンで開発、すでに5,000万ユーロを投じて、年産8,000トンのPVAm設備および6万トンのVFA設備の建設に着手しており、2001年から生産を開始する。なおPVAmは主に紙の製造工程やポリマー改質スターチの製造中に混入する異物の除去や、紙強化剤として用いられる。同社では今後5年間で1億ユーロの売上を見込んでいる。
 さらにBASFは、NAFTA地域において、2004年までに1億4,000万ユーロを投じて、ディスパージョンおよび染料を強化していく考えで、現在ペンシルベニア州モナカ工場において、ポリマーディスパージョン設備を10万トン増強する計画を進めており、今秋にも完成する。
 このほかアジア地域では、コーティング用ディスパージョン事業など戦略上重要な製品を集中強化していく方針で、設備投資として日本やインドネシア、中国などで2004年までに6,000万ドルを計画している。