2002年02月19日
スチレン工業会松上会長が会見、PSの需給改善の進展ぶりを強調
国内向け出荷も遠からずマイナス成長から脱却すると予想
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:東洋スチレン、日本スチレン工業会

 日本スチレン工業会の松上孝会長(東洋スチレン社長)は19日に記者会見し、ポリスチレン(PS)ならびにスチレンモノマー(SM)の需給の現状と当面の展望について所感を明らかにした。
 この中で同会長は、PSの需給の現状について「この1年における非効率プラントの休・停止によって設備過剰問題はあらかた解消、これに伴い最近は需給バランスが急速に引き締まってきている」と説明し、事態の改善が順調に進展している旨を強調した。一方、今後の動向に関しては「2~7月にSMの定修が集中することもあって需給に緩みが生じる可能性は少ない。また、長期不振がつづいてきたPSの国内需要もそう遠くない時期に転機を迎え、徐々にプラス成長に変わるとも見ている」と発言、全体に最悪の事態から脱却できつつあるとの感触を披露した。
 
 同会長の発言内容は概要次の通り。
○PS業界の実生産能力はこの1年で年産10万トン強縮小したと見てよい。これは、生産効率の低い償却済みの小型設備について休止もしくは停止の措置が取られたためで、この結果、昨年末におけるPS業界全体の実生産能力は年105万トン程度に縮小したと想定される。したがって、設備過剰問題はおおむね解消されたと言ってよい。これに伴い、昨年末の業界平均の実稼動率はおよそ97%になったと見られる。欧米のPS業界の平均は80%台なので、日本の場合はかなり高い稼働率といえる。

○今年1月もほぼ同じと見てよい。PSメーカー、SMメーカーともに、今年に入っても引き続き適正生産に徹している。需要の低迷に合わせた生産を徹底させているわけで、1月の生産量はPSが前年同月の74%、SMが同96%にとどまった。この結果、月末在庫はPSが前年同月末の89%、SMが同79%に縮小している。

○一方の出荷の中では、PSもSMも輸出の伸びが目立つが、これは中国などアジア市場の需要の拡大と市況の改善に対応してのもので、決して操業率向上を狙っての無理な輸出ではない。片や国内需要は、あいにく電機工業用が依然として前年を大きく下回っている。しかし、雑貨産業用やFS用は逆に前年を上回るようになってきている。こうした点は従来にない明るい材料といえる。

○今後の展望はなお明確ではないが、少なくとも生産はPSもSMも引き続き適正水準が維持されると見る。SMの場合は、今年の定修工場数が昨年の2倍の10工場になり、しかもそのうちの7工場は2~7月に集中する見通しなので上期の需給タイト化は避けられないといえる。

○PSの国内需要は、長期マイナス成長から次第に脱却していくと見る。遠からず前年並みの規模に戻り、その後徐々にプラス成長に転じていくのではなかろうか。

○しかし、量の拡大を追及するのは意味がない。PSで言えば年間100万トンの需要を大切に維持していくことが肝要と考える。