2000年05月19日 |
大日本インキ化学、2000年3月期業績は計画通り |
連結当期純利益は退職金給付債務積立不足の一部前倒し処理で赤字 |
【カテゴリー】:経営 【関連企業・団体】:大日本インキ化学工業、バイエル |
大日本インキ化学工業は19日、2000年3月期業績及び今期見通し、また中期計画の進捗状況について説明した。 同社の2000年3月期連結業績は、売上高が前年同期比4.6%減の9,392億1,600万円、営業利益が5.5%減の429億800万円、経常利益が36.4%増の194億7,000万円、当期純利益が63億500万円となった。減収の要因は、前期に比べ円高となったことにより海外子会社の現地通貨建て売上高の円換算後の金額が大幅に目減りしたことが大きく影響している。また経常利益は、為替換算の影響を除くと増益となるが、これは営業利益ベースの増益に加え、米イーストマン・コダックとの合弁による製版・印刷材料事業会社の業績の大幅な回復によるもので、持分法による投資利益が増加、また会計処理の変更にともない営業外費用に計上していた年金関連費用が減少したことが主な要因。当期純利益について、2000年3月期から厚生年金基金制度における過去勤務費用の処理方法を変更、これにともなう過年度発生分の一括償却について特別損失を計上、一方で欧州ラテックス事業会社について合弁相手の英ユール・カトー社に売却したことから、特別利益を計上、さらに従来海外子会社の一部で適用していた税効果会計を全面的に適用したことなどにより、前期に比べ156億円減少、マイナス63億円の赤字となった。 同社の奥村晃三社長は今年1月に発表した中期計画について、「中期計画にあたっては、企業価値をいかに高めるかに重点を置いている。(1)事業基盤の強化、(2)事業体制の効率化、(3)成長分野への経営資源の重点投入の3つを切り口としている。(1)では、トタルフィナのインキ部門であるコーツ社の買収をはじめ、バイエルと熱可塑性ポリウレタン合弁などに取り組んでおり、(2)については、積水化成品への発泡ポリスチレン事業譲渡やプラスチック事業の一部分社化など、(3)においては、マレーシアのエポキシ樹脂設備、米国子会社のCD用コート材、DVD用接着剤生産開始の決定などの施策を講じている」と語った。また「グローバルに事業を展開している当社は、為替の影響を受けやすく、この影響を除いて算定した場合、連結売上高はマイナス4.6%からプラス3.3%に、営業利益はマイナス5.5%からプラス4.8%になる。こうした意味では、計画どおり進んでいると言える。当初計画の目標と比べると、退職給付債務積立不足の処理を前倒しで行ったためずれているが、計画の最終となる2003年3月期の目標は今のところ変えないつもりだ。また2003年12月の期限までに増資できるようになっているが、当面は考えていないものの資本コストに見合ったものとなるならば実施を検討したい」と説明した。さらに、同社は現在中期計画の策定を進めているが、その名称を同社のトレードマークや今年の干支にちなんで「ドラゴン21」としたことも明らかにした。 |