2000年05月17日
日本ABS樹脂工業会の中安会長、今後の活動方針など語る
技術部会の活動を拡大/環境負荷の低減を早期実現
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本ABS樹脂工業会

 日本ABS樹脂工業会の中安英治会長(宇部サイコン取締役相談役)は17日、ABS樹脂の需要動向や今後の工業会の活動方針などについて次のように語った。

 ABS樹脂には、汎用的な部分と機能樹脂的な部分の両方があり、かつマーケットが非常に多岐にわたっている。このためポジションがわかりにくい樹脂かもしれないが、この点は我々の説明が足りなかったと反省している。ABS樹脂は昭和40年以前から日本で企業化されているが、これまで用途は大きく変わってきた。これは我々がユーザーと共同で市場の開発に挑戦してきたからにほかならない。その意味では非常にポジティブな樹脂であると思う。
 すでに加工メーカーやエンドユーザーの国際化が進んでおり、ABS樹脂の市場も国際化している。このため単純に内需を見るだけではなく、今後はアジア全体を一つの市場としてどう捉えていくかが工業会としての課題の一つと考えている。
 原料高については、各社とも懸命に努力しているが、最近の状況はこうした努力をはるかに上回るものであり、一部をマーケットにも分担してもらう必要がある。我々は市場と共存していく考えだ。
 しかし、ABS樹脂業界にとって最大の課題は環境問題であり、環境負荷をいかに下げるかが重要だ。単純に各社が努力するのではなく、工業会としてこの問題に取り組み、早期かつ効率的に技術知見の確立を図りたい。そのために工業会内の技術部会の活動を拡大して行きたいと考えている。